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「音漏れしてますよ?」と電車で音楽を聴いている迷惑客に注意したら思わぬ結果に…【短編小説】

音漏れしてますよと電車で音楽を聴いている迷惑客に注意したら思わぬ結果に短編小説

帰りの電車での出来事

いつもの帰り道、揺れる電車の中。
一日の疲れがどっと押し寄せる時間です。
その日の車内は、座席は埋まり、何人かが立っている、まあまあ普通の混み具合でした。

「シャカ、シャカシャカ、シャカ…」

どこからか、リズムの早い音楽が聞こえてきます。
音のするほうを見ると、ドアのそばに立つ若い男性が、大きなヘッドホンをつけていました。
そこから、かなりはっきりとした音が漏れていたのです。

正直、イライラしました。
仕事で嫌なことがあったわけではありませんが、疲れた体にその音は響きます。
周りの人も何人か、そちらをチラチラと見ているのが分かりました。でも、誰も何も言いません。

「ああ、またか。どうしてみんな、少しボリュームを絞るっていう簡単なことができないんだろう…」

心の中で文句を言いながら、次の駅まで我慢しようと思いました。
でも、その音は止みません。それどころか、曲が変わったのか、さらに激しいビートが響き始めました。

もう限界でした。

私は、そっと彼に近づきました。
こういう時、逆ギレされたらどうしよう、と少し心臓がドキドキします。

「あの、すみません」 私は、できるだけ冷静な声で話しかけました。
彼は気づきません。ヘッドホンをしているので当たり前ですね。
私は彼の肩を、ほんの少しだけトントンと叩きました。

彼はビクッと肩を揺らし、驚いた顔で私を見ました。 そして、慌ててヘッドホンを首にかけます。

「あの…。音漏れしてますよ?」

私は少し、非難するような口調になってしまったかもしれません。
彼は「え?」と一瞬きょとんとした後、顔を真っ赤にしました。

「え! あ! ほんとですか!? すみません!」

彼は、私が想像していたような「迷惑客」とは全然違う反応をしました。
彼は慌ててスマホを取り出し、画面を操作します。

「うわ、最悪だ…。あの、すみません、本当に。これ、昨日落としてから調子が悪くて…。自分では、一番小さい音で聴いてたつもりだったんです」

そう言って、彼は私にスマホの画面を見せました。
確かに、音量のバーは一番下、メモリ一つ分しかありません。

「なのに、こんなに漏れてましたか?」
「ええ、まあ、結構はっきり…」
「うわー…教えてくれて、ありがとうございます! 恥ずかしい…。すぐ止めます!」

彼は深々と頭を下げて、音楽を止め、ヘッドホンをカバンにしまいました。
私は、なんだか申し訳ない気持ちになりました。 てっきり「わざと」大音量で聞いているのだと決めつけていたからです。

「いえ、こちらこそ…なんか、きつい言い方みたいになってすみません」 「いやいや! 本当に助かりました!」

次の駅に着くと、彼は「お先に失礼します」と私にもう一度会釈をして、足早に降りていきました。

電車で音漏れをしている人を見かけると、いつも「マナーが悪いな」と一方的にイライラしていました。
でも、彼のように、わざとではない場合もあるのかもしれません。 もちろん、マナー違反は良くないですが、頭ごなしに注意してしまった自分を、少しだけ反省した出来事でした。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

 

 

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