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コインランドリーで突然怒鳴られた私。強面の男性が放った言葉の真相とは【短編小説】

コインランドリーで順番抜かしだろと責められた私その人が他人の洗濯物を勝手に出してた短編小説

コインランドリーでのトラブル

私の名前は美咲(みさき)です。
あれは、梅雨の貴重な晴れ間だった日のこと。
たまった洗濯物を抱え、近所のコインランドリーへ向かいました。
考えることは皆同じなのか、店内は多くの人で賑わい、ほとんどの洗濯機がフル稼働していました。

「あ、あそこの洗濯機がもうすぐ終わりそう」

ランプが点滅している一台を見つけ、終わるのを待つことに。
数分後、完了音が鳴り、中からシーツを取り出していた優しそうな女性に「次、使わせていただいてもいいですか?」と尋ねると、「どうぞ」と快く譲っていただけました。

前の人が完全に中身を取り出し、さあ私の番、と洗濯物を入れようとした、まさにその時です。

「おい、アンタ、順番抜かしだろ!」

突然、背後から怒声が飛んできました。
驚いて振り返ると、腕を組んだ強面の男性、竜也(たつや)さんが仁王立ちで私を睨みつけています。

「えっ?いえ、私、前の方に許可を…」

「俺の連れを急かすんじゃねえよ!」

あまりの剣幕に、頭が真っ白になりました。
言いがかりだと思いましたが、面倒は避けたくて、「すみません…」と、私は謝ってその場を譲ることにしました。

「チッ、わかればいいんだよ」

竜也さんはそう吐き捨て、私が使おうとしていた洗濯機の前に立ちました。
彼の連れだという女性がまだ取り出しきれていなかったシーツを、少し乱暴にカートへ入れていきます。
その剣呑な雰囲気に、私はただ立ち尽くすばかりでした。

譲ってくれた女性が戻ってくると…

そこへ、先ほどの女性が「あら、ごめんなさい」と言いながら戻ってきました。
彼女は竜也さんの隣に立つと、状況を察したように、少し驚いた顔をしました。

「竜也さん、どうしたの?もしかして、この方に何か…?」

「ああ?こいつがアンタのこと急かしてるみたいだったからよ」

すると、女性は困ったように微笑んで、竜也さんの腕を軽く叩きました。

「もう、早とちりなんだから。この方は、ちゃんと私に声をかけてくれたのよ。『次に使っていいですか』って。だから私が『どうぞ』ってお譲りしたの。あなたの勘違い」

その言葉に、竜也さんの強張っていた顔が、みるみるうちに変わっていくのが分かりました。
眉間のしわが消え、気まずそうに視線をさまよわせています。

しばらくの沈黙の後、竜也さんはぼりぼりと頭をかきながら、私の方へ向き直りました。

「…悪かった。俺の勘違いだったみてえだ。でけえ声出しちまって、すまねえ」

さっきまでの威圧感が嘘のように、その声は小さく、申し訳なさそうでした。
見た目の怖さとは裏腹に、素直に謝る姿に、私の緊張もすっと解けていきました。

「いえ、大丈夫です」

そう答えると、彼はもう一度小さく頭を下げ、奥さんと一緒に洗濯物を畳み始めました。
人は見かけによらないとは、こういうことなのかもしれない。私は少し温かい気持ちになりながら、自分の洗濯物を静かに洗濯機へと入れました。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。

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