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隣人に「花の香りがきつい」と文句を言われた私。→数年後、その人がベランダで喫煙していた【短編小説】

ベランダガーデニングを否定する隣人
私の名前は亜美。
ささやかなベランダガーデニングが、日々の癒やしです。
数年前の初夏、私が特に丹精込めて育てていたユリが、見事な花を咲かせました。
ベランダに出るたびに、甘く、優しい香りが、心を和ませてくれます。
しかし、その香りが、思わぬトラブルの種になりました。
ある日の夜、隣に住む斎藤さんが、険しい顔で私の部屋のインターホンを鳴らしたのです。
『お宅のベランダの花の香り、きつすぎるんだよ!窓も開けられないじゃないか。迷惑だ、どうにかしてくれ!』
花の自然な香りを、まるで公害のように怒鳴り散らす彼。
私は、驚きと悲しみで、言葉もありませんでした。
ご近所トラブルは避けたかった私は、謝罪し、泣く泣く、一番香りの強かったユリの鉢を、ベランダの隅へと追いやったのです。
数年後、謎の不快な匂いが…
それから、数年の月日が流れました。
先日の、よく晴れた週末の午後。
気持ちのいい風に吹かれようと、私がベランダに出た、その時でした。
どこからか、煙たい、不快な匂いが、ふわりと漂ってきたのです。
匂いの元に目をやって、私は、言葉を失いました。
隣のベランダで、斎藤さんが、気持ちよさそうに、タバコをふかしていたのです。
煙は、風に乗り、まっすぐ、私のいる方へと流れてきています。
唖然としました。
あれほど、花の自然な香りを「きつい」「迷惑だ」と罵った彼が、平然と、隣家に向けて、有害な煙を吐き出している。
その矛盾と、あまりの身勝手さに、怒りを通り越して、もう笑うしかありませんでした。
彼は、香りに敏感だったわけではなかったのです。
ただ、自分の気に入らないものを、排除したかっただけなのでしょう。
私は、何も言わず静かに窓を閉めました。
彼のような人に、何を言っても無駄だと思ったからです。
あの日の、ユリの甘い香りを思い出します。
彼の発する煙たい匂いよりも、ずっと、ずっと、上品で、優しい香りでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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