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マンションで「ペット禁止なのに飼ってるでしょ?」と疑われた私→本当は隣人の隠し飼いだった【短編小説】

ペット禁止マンションで疑いの目を向けられた
私の住むマンションには、「ペット飼育禁止」という、絶対的なルールがありました。
動物好きな私、裕子にとっては、少し寂しい決まりでしたが、もちろん、きちんと守って生活していました。
しかし、ひと月ほど前から、隣人の斉藤さんに、疑いの目を向けられるようになったのです。
『裕子さん、夜中に、お宅から猫の鳴き声が聞こえるのよ。ペット禁止なのに、まさか、隠れて飼ってるんじゃないでしょうね?』
エレベーターで二人きりになった際、彼女は、私を犯人だと決めつけたような口調で、そう言いました。
もちろん、身に覚えのない私は、きっぱりと否定。
しかし、その日を境に、私の部屋から動物の鳴き声がするという噂は、マンション中に広まってしまったのです。
そして先日、ついに管理人の渡辺さんが、私の部屋へ事情を聞きにやってきました。
私は潔白を証明するため、部屋の中を隅々まで見てもらったのです。
渡辺さんが「何もいませんね。失礼しました」と、玄関先で私に頭を下げていた、まさにその時でした。
突如現れた子猫…
「…ミャア」
壁の向こうから、か細い、子猫のような鳴き声が、はっきりと聞こえてきたのです。
音の発生源は、私の部屋ではありません。
隣の、斉藤さんの部屋からでした。
私と渡辺さんは、顔を見合わせました。
渡辺さんが、斉藤さんの部屋のインターホンを鳴らすと、慌てた様子の彼女が出てきます。
そして、その足元を、一匹の小さな子猫が、すり抜けていきました。
顔面蒼白になる、斉藤さん。
聞けば、娘さんが飼えなくなった猫を、可哀想に思い、こっそりと引き取っていたというのです。
そして、鳴き声がご近所に漏れていることに気づき、自分への疑いを逸らすため、私に罪をなすりつけようとしたと。
あまりにも、身勝手な言い分でした。
斉藤さんは謝罪し、猫は別の親戚の家へ引き取られていきました。
他人を陥れようとした、その浅はかな嘘。
しかし、真実の鳴き声は、壁を越えて、私の潔白を、はっきりと証明してくれたのです。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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