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信じられない…子どもが泣いた瞬間、ベンチ横の女性が放った心ない一言に怒り心頭【短編小説】

イヤイヤ期の息子と公園で遊んでいた時
私の名前は美咲。
天気の良い午後、私は2歳になる息子の悠斗を連れて、近所の公園にいました。
走り回る息子をベンチから眺める、穏やかな時間。
しかし、私が「もうおうちに帰ろうね」と声をかけた瞬間、その空気は一変しました。
「いやー!まだ遊ぶの!」
いわゆる「イヤイヤ期」真っ只中の悠斗は、その場に寝転がり、火がついたように泣き叫び始めたのです。
周りの視線が、痛いほど突き刺さります。
私は「ごめんなさい」と心の中で繰り返しながら、息子の目線までしゃがみ込み、必死になだめようとしました。
しかし、一度始まった癇癪は、なかなか収まりません。
私が途方に暮れていた、その時でした。
女性が放ったある一言とは
隣のベンチで、ずっと無言でスマホを眺めていた女性が、大きなため息と共におもむろに立ち上がりました。
そして、泣きじゃくる息子と、汗だくの私を見下ろし、吐き捨てるようにこう言ったのです。
『躾がなっていないと、ああなるのね。可哀想に』
一瞬、何を言われたのか、理解できませんでした。
全身の血の気が、すうっと引いていくのを感じます。
ただでさえ、公共の場で息子を泣き止ませられないことに、罪悪感と焦りでいっぱいだった私。
その心を、彼女の言葉は、鋭い刃物のように何の躊躇もなく切り裂きました。
言い返したいのに、ショックで声が出ません。
女性は、私たちがまるで汚いものでもあるかのように一瞥すると、ハイヒールを鳴らし、何事もなかったかのように去っていきました。
私は、ただ、震える手で息子を抱きしめることしかできませんでした。
子育ては、綺麗事だけでは済みません。
親だって、毎日が試行錯誤です。
あの時、せめて、何も言わずに、ただ見て見ぬふりをしてくれていたら。
いいえ、せめて「可哀想」という、見下したような言葉だけは、使わないでほしかった。
息子の癇癪は、10分後には収まりました。
でも、私の心に深く刺さった棘は、きっと、この先も長く、私を苦しめ続けるのでしょう。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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