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メイクで隠す日々に限界を感じた私。スキンケアで素肌を取り戻した時、母が泣いた理由【短編小説】

私の朝は、毎朝「工事」から始まっていました。
思春期から続くひどい肌荒れ。
赤みや跡を隠すため、コンシーラーとファンデーションを、まるで壁を塗るように重ねていく。
メイクは楽しむものではなく、本当の自分を隠すための重たい仮面でした。
限界を感じた私はある決意をした
そんな日々に限界を感じたのは、ある夏の日のこと。
汗でドロドロになった自分の顔が、ショーウィンドウに映り、そのあまりの惨めさに涙が溢れました。
もう隠し続けるのは、うんざりだ。
その日を境に、私は「隠す」ことから「治す」ことへ、考え方を切り替えました。
母もそんな私を応援してくれました。
専門家の方に相談し、肌の基礎から立て直す、地道なスキンケアを始めたのです。
それから一年。
時間はかかりましたが、私の肌はゆっくりと、でも着実に本来の姿を取り戻していきました。
そして十年ぶりに、日焼け止めだけを塗って外出できるようになったのです。
実家を訪れた私を見た母が…
その週末、私はすっぴんのまま実家を訪れました。
リビングにいた母は、私の顔を見るなり、目を見開きました。
そして、私の頬にそっと触れると、その目から大粒の涙をぽろぽろとこぼし始めたのです。
「お母さん、どうしたの?嬉しいことなのに」
驚く私に、母は、しゃくりあげながら言いました。
「ごめんね、瑞希…。あなたがずっと辛そうなのを見てるのが、お母さんも本当に辛かったから…。肌が綺麗になったのも嬉しいけど、それ以上に、あなたの顔が…表情が、やっと昔の明るい瑞希に戻ったから…。本当に、良かった…」
母は、私の肌が綺麗になったことだけに泣いていたのではありませんでした。
私が長年抱えてきたコンプレックスから解放され、心からの笑顔を取り戻したことが、何よりも嬉しかったのです。
私が肌と戦っていた日々は、母にとっても、自分のことのように辛い時間だった。
そのことを、母の涙が教えてくれました。
私の素肌を取り戻す旅は、母の心労を、ようやく終わらせる旅でもあったのです。
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【編集部注】
本記事は創作の小説であり、登場する人物や団体、出来事はすべて架空のものです。記事内で描かれているスキンケアの効果や肌の変化は物語上の演出であり、同様の結果を保証するものではありません。肌のトラブルにお悩みの方は、専門の医療機関にご相談ください。
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