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「中学受験とか可哀想!やめな!」と自身の教育方針を押し付けたママ友が、同じ中学に!?なぜ【短編小説】
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一方的な価値観の押し付け
息子が小学5年生の秋でした。公園で顔を合わせたママ友に、息子が中学受験を目指していることを、つい話してしまったのです。
「え、中学受験とか可哀想!やめなよ!」
彼女は目を丸くして、信じられないというような強い口調で言いました。
「小さいうちから夜遅くまで塾漬けなんて、可哀想!うちは絶対させない。子どもは外で元気に遊ぶのが一番!公立で十分じゃない」
自信満々に言い切る彼女に、私は何も言い返せませんでした。
息子の「あの中学に行って、こういうことを学びたい」という真剣な目を見て、家族で何度も話し合って決めた道でした。
もちろん、大好きなゲームや友達と遊ぶ時間を我慢させたり、思うように成績が伸びず涙を流したりする姿を見て、親として本当にこれで良いのかと、私も何度も迷いました。
でも、彼女の言葉は「あなたの育児は間違っている」と、一方的に断罪するナイフのように感じられました。
それ以来、彼女と顔を合わせるのが苦痛になり、いつしか公園で会っても挨拶だけして、そそくさとその場を離れるようになっていました。
まさかの再会
そして、季節は巡り、迎えた春。
息子はあの苦しかった日々を乗り越え、第一志望だった中学校に見事合格しました。満開の桜が咲き誇る校門の前で、真新しい制服に少し緊張した面持ちで袖を通す息子の姿に、胸が熱くなります。
私も誇らしい気持ちで入学式の看板を背に息子の写真を撮っていると、ふいに声をかけられました。
「あれ?やっぱり!お久しぶり!」
振り向くと、そこにいたのは、あのママ友でした。
そして、彼女の隣には、息子とまったく同じ、チェックのズボンとエンブレムのついた制服を着た彼女の息子さんが…。
「え…っと…そちらも、ですか?受験は…しないって…」
私は混乱しながら、かろうじて言葉を絞り出しました。
すると彼女は、悪びれる様子もなく、むしろ「聞いてよ」と言わんばかりに笑って言いました。
「そうなのよ!それがね、うちの子が6年生になって急に『受験したい』って言い出して!もう、直前で入れる塾を探すのがすごい大変だったんだから!」
「え?」
「本当は不本意よ?私は今でも公立でのびのび育つのが一番だと思ってるんだけど、本人がどうしてもって聞かなくて。仕方なく受験させたの。あーあ、これからお金もかかるし、最悪」
「か、可哀想」と、あれほどまでに私を責めていたのは、どこの誰だったか…。
あっけらかんとした彼女の笑顔を見ながら、私は心の中で静かにため息をつきました。教育方針は、本当に家庭それぞれ。それは痛いほど分かります。
でも、自分の価値観をあれだけ強く他人に押し付けてきたことを、彼女はもう忘れてしまったのでしょうか。
青空と満開の桜のコントラストがあまりに眩しい、少し皮肉な再会でした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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