Share
「まだ育休中なの?いい身分ね」同僚の嫌味にムカついた翌日、上司の発表で状況が一変!【短編小説】
INDEX

嫌味な同期
私は今、育児休業中です。
もうすぐ1歳になる息子の育児は、正直、想像を絶する大変さです。
でも、それ以上に愛おしく、充実した毎日を送っています。
とはいえ、社会から取り残されていくような焦りや、復帰後にちゃんと働けるかという不安がなかったわけではありません。
先日、復帰の挨拶も兼ねて、久しぶりに息子を連れて会社に顔を出しました。
「わあ、可愛い!」
「お母さんそっくりだね」
「毎日大変でしょう」
多くの同僚が温かく迎えてくれ、息子の顔を覗き込んでは笑顔を向けてくれました。
その優しさに、私の不安も少し和らいだ気がしました。
しかし、一人だけ。私と同期入社の彼女だけは、遠巻きにこちらを眺め、明らかに不機嫌な顔をしていました。
そして、給湯室ですれ違った瞬間、ボソッとこう言ったのです。
「まだ育休中なの?いい身分ね」
一瞬、何を言われたのか分かりませんでした。
「いい身分?」 毎晩、2時間おきに起こされ、自分の食事もままならない。
トイレにさえゆっくり行けない。社会と断絶されたような孤独感と闘いながら、必死で命を育てているこの毎日が、「いい身分」?
怒りと悲しさで、指先が冷たくなっていくのを感じました。
何か言い返したかったけれど、言葉が出てきません。
彼女はフンと鼻を鳴らし、その場を去っていきました。
その夜は、夫に愚痴を聞いてもらっても、悔し涙が止まりませんでした。
憂鬱な気分のまま迎えた、翌日の午後。
スマホが鳴りました。画面には、私の上司の名前。
「急な話で悪いんだけど、明日の全体ミーティング、オンラインで参加できる?」
復帰前の面談はまだ先のはずです。
何かトラブルだろうか、それとも復帰が早まる?
不安な気持ちで「はい、大丈夫です」と答えました。
ミーティングでの意外な発表
そして、ミーティング当日。
息子を夫に預け、久しぶりにスーツに着替えてパソコンの前に座りました。
画面には、懐かしい会議室の光景と、社員たちの顔が並んでいます。もちろん、昨日の彼女の顔も。
「さて、今日は来期の体制について、一つ重要な発表があります」
上司が厳かな口調で切り出しました。
「来期から、新規プロジェクトを立ち上げることになった。そして、そのプロジェクトリーダーを、現在育休中の彼女(私)に任せたいと思っている」
「え?」
思わず声が出ました。画面の向こうが、ざわめいているのが分かります。
昨日、私に嫌味を言った彼女が、信じられないという顔で画面を凝視しているのが見えました。
上司は続けます。
「彼女は育休に入る前、あの誰もが匙を投げた案件を見事に成功させた。あの実行力と企画力は、この新プロジェクトに不可欠だ。もちろん、復帰後の働き方については、リモートや時短を含め、最大限配慮する。だから、ぜひ力を貸してほしい」
温かい拍手が、画面越しに響いてきました。
私のがんばりを、ちゃんと見ていてくれた。私を、必要としてくれている。 昨日までのモヤモヤが、一瞬で吹き飛んでいきました。
「いい身分」なんかじゃない。私は私なりに必死で今を生きていて、そして、私を待ってくれている場所がある。
「はい!精一杯、頑張ります!」
私は、画面の向こうの上司に、深々と頭を下げました。復帰が、今からとても楽しみです。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
******************
心に響くストーリーをもっと読みたい方
【他のおすすめ短編小説を見る】
******************
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
友だち登録&アンケート回答で「Amazonギフトカード」など好きな商品を選べるギフトを毎月抽選で5名様にプレゼント!
\ 今すぐ応募する /
Feature
おすすめ記事

