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「飲めないなら来んなよ〜」新人歓迎会で放たれた一言、救ってくれたのは同期の仲間だった【短編小説】

新人歓迎会での洗礼
社会人になって初めての試練は、意外にも「飲み会」でした。
新しい環境に少しでも早く慣れたいと、緊張しながら参加した新人歓迎会。私は生まれつきお酒が飲めない体質で、乾杯のビールも口をつけるフリだけして、すぐにウーロン茶に切り替えていました。
最初は和やかな雰囲気でした。先輩たちも優しく、「これからよろしくね」と声をかけてくれます。しかし、会が中盤に差し掛かり、お酒が進んでくると、空気が少しずつ変わっていきました。
一人の男性の先輩が、私の手元がずっとウーロン茶であることに気づいたようです。
「あれ? 新人ちゃん、全然飲んでないじゃん。もしかして飲めないの?」
「はい、体質的にお酒がダメで…。すみません」
私が恐縮しながらそう答えると、先輩は急に不機嫌そうな顔になりました。周りの人も少し注目しています。
そして、その先輩が大きな声で放ったのです。
「は? 飲めない? なんだよそれ。飲めないなら来んなよ〜」
その一言に、私の頭は真っ白になりました。 歓迎会だから、参加するのが当たり前だと思っていました。飲めなくても、コミュニケーションのために来たつもりでした。
それなのに、「来るな」と。 お店のざわめきが急に遠くなり、私はどう反応していいかわからず、ただ俯くことしかできませんでした。周りの先輩や同期たちも、苦笑いを浮かべるだけで、誰も助けてくれません。
その時でした。
救いの手は、意外な場所から
「あの、すみません」
静かですが、よく通る声がしました。声の主は、私の隣の席に座っていた同期の男性でした。
彼は研修中もあまり目立たず、どちらかというと物静かなタイプ。正直、今日までほとんど話したことがありませんでした。
彼は、絡んできた先輩をまっすぐに見つめて言いました。
「今日は『新人歓迎会』ですよね。お酒が飲めるかどうかに関わらず、僕たち新人を歓迎してくれる会じゃないんですか。飲めないからって『来るな』っていうのは、おかしいと思います」
シーンと静まり返ったテーブルで、彼の言葉だけが響きます。
絡んできた先輩は「なんだよ、お前……」とバツが悪そうに口ごもりました。
すると、彼はふっと表情を和らげ、私に向き直りました。
「僕も、実はお酒より食べる方が好きで。ここの唐揚げ、美味しいですよ。よかったらどうぞ」
そう言って、彼が取り皿に唐揚げを一つ乗せてくれました。その瞬間、張り詰めていた空気が一気に緩んだ気がしました。
「そうだよね」「気にしなくていいよ」と、他の先輩たちも次々と言葉をかけてくれ、私は泣きそうになるのを必死でこらえました。
普段おとなしい彼が見せた毅然とした態度と、さりげない優しさ。あの時、彼が声を上げてくれなかったら、私はきっと会社に行くのが怖くなっていたと思います。
あの一件以来、私は「飲めないこと」を必要以上に謝るのをやめました。そして、人を見た目や印象だけで判断してはいけないと、心から学んだのです。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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