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「遅刻します」ってLINEだけ送ってくる入社3日目の新人。上司の返信で一気に空気が凍った【短編小説】

静かな朝の出来事
春風がまだ少し冷たい4月の朝。私の部署にも、今年の新人が配属されてきました。
入社して、まだ3日目。真新しいスーツも着慣れない様子で、毎日ガチガチに緊張しているのが伝わってきます。
私も数年前はあんな感じだったな、なんて少し微笑ましく思っていました。
次の日、始業時間を5分過ぎても、彼の席は空いたままでした。
「どうしたんでしょうね?」
「電車、遅れてるのかな…」
私や他の先輩たちも、少しソワソワし始めた時です。
ピコン、と部署のグループLINEが鳴りました。通知を開くと、その新人からでした。
「遅刻します」
たった、その6文字だけ。
えっ? と思わず声が出そうになりました。 理由も、到着予定時刻も、謝罪の一言すらありません。「遅刻します」という、あまりにも一方的な事実報告だけです。
さすがにこれは…と、隣の席の先輩と顔を見合わせてしまいました。
オフィス全体に「まさか」「ありえない」という戸惑いの空気が走ったのが分かりました。
新人の指導係を任されていた私も、どう対応すべきか少し焦りました。
私が「何か事情があるのかもしれないし、電話してみた方が…」と上司に声をかけようとした、その時です。
ずっと黙って自分のPCモニターを見ていた上司が、静かにスマホを手に取りました。
一瞬で空気が凍りついた瞬間
そして、グループLINEに、上司からの返信が投稿されました。
「承知しました。ところで、入社時に説明した『遅刻・欠勤時の連絡ルール』の資料、もう一度目を通しておいてもらえますか?」
シーン……。
さっきまでの微妙なざわつきが嘘のように、オフィスが静まり返りました。
キーボードを打つ音さえ、一瞬止まった気がします。 とても丁寧な言葉遣いなのに、ものすごく、冷たい。
「緊急の連絡は、必ず電話で」という基本ルールを、完全に見落としていた彼への、静かな指摘です。怒鳴られるより、こういう方がずっと怖い…。私も背筋が伸びる思いでした。
その約30分後。新人が顔面蒼白で走ってきました。 「申し訳ありません!」 デスクに着く前に叫ぶ彼に、上司は静かに「まず、荷物を置いて。それから会議室に来てください」とだけ。
「遅刻します」その一言で済ませたつもりだったのかもしれませんが、たった一回の連絡ミスが、これから築くはずだった信頼関係にどれだけ影響するか。
社会人としての責任の重さを、私自身も改めて肝に銘じた出来事でした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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