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「報連相が足りない!社会人の基本だから」と説教してくる先輩が自分のミスを隠した結果【短編小説】
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社会人の基本を説教する先輩
私の職場には、いつも「報連相(ほうれんそう)」の大切さを説いてくる先輩がいます。
私が少しでも報告を忘れたり、判断に迷って相談が遅れたりすると、すぐに飛んでくるのです。
「ちょっと、今の進捗どうなってるの?なんで報告ないの?」
「その件、上司にはもう伝えた?遅いよ」
「報連相が足りない!社会人の基本だから!」
その厳しい言葉に、私はいつも「すみません…」と謝ってばかり。確かに大切なことだと頭では分かっていても、先輩の威圧的な態度にすっかり萎縮してしまっていました。
そんなある日、部署全体が注目する大きなプロジェクトが動き出しました。
そのメイン担当は、例の先輩。私はそのサポート役として入ることになりました。
プロジェクトは順調に進んでいるように見えました。
しかし、最終確認の段階で、私はある重大なミスに気づいてしまったのです。
反面教師になった先輩
先輩が作成し、すでに取引先へ送付済みの資料に、肝心な数字の間違いがあったのです。
このまま進めば、大問題になることは明らかでした。
私は血の気が引くのを感じながら、急いで先輩に報告しました。
「先輩!大変です!この資料、数字が間違っています…!すぐに取引先に連絡しないと…!」
私の焦りとは対照的に、先輩は一瞬顔を青くしたものの、すぐに冷静な表情を取り繕いました。
「あ…ああ、これね。大丈夫、大丈夫。こっちでこっそり直しておけばバレないから」
「えっ、でも、もう先方に送ってしまったデータです。すぐに報告して謝罪しないと、後で取り返しがつかなくなります!」
「いいから!私がうまくやっておく。君は余計なことしないで。もちろん、上司にも絶対に言わないでね」
「報連相が基本」と、あれほど私に言っていた先輩が、自分のミスを隠そうとしている…。
私は信じられない気持ちでいっぱいでしたが、先輩の強い口調に押され、何も言えなくなってしまいました。
しかし、そんな隠蔽(いんぺい)が通用するはずもありません。
翌日、取引先からの怒りに満ちた電話がオフィスに鳴り響きました。
運悪く、その電話を取ったのは上司でした。
すぐに先輩と私は上司の前に呼び出されました。
上司は、ミスそのものよりも、別のことに対して激怒していました。
「なぜ、ミスに気づいた時点ですぐに報告しなかったんだ!」
その言葉は、私ではなく、まっすぐに先輩に突き刺さりました。
いつも私に「報連相」と厳しく言っていた先輩が、今まさにその「報連相」を怠ったことで、上司から厳しく叱責されているのです。
「一番やっちゃいけないことだぞ。これじゃあ、信頼をなくすよ」
その言葉は、昨日先輩が私に言った言葉ではなく、今、上司が先輩に向けて放った言葉でした。
うつむいて何も言えなくなった先輩の姿を見て、私は思いました。
「基本」を口にするのは簡単だけど、それを実行するのは、特に自分が不利な状況の時ほど難しいんだな、と。
あの日以来、先輩の口から「報連相」という言葉を聞くことはなくなりました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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