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「みんな私が辞めたら寂しいよね」と自信満々のお局様の送別会で起きたスカッとした話【短編小説】

先輩の退職と送別会
私の職場には、いわゆる「お局様」的な女性の先輩がいました。
仕事はできるのかもしれませんが、とにかく自分中心。気分次第で指示は変わるし、後輩の小さなミスは全員の前で大声で責め立てるのに、自分のミスは巧妙に隠す人でした。
そんな先輩が、このたび自己都合で退職することになったのです。
退職の挨拶で「私が抜ける穴は大きいと思うけど、みんなで頑張ってね?」と恩着せがましく言っていたのは、まだ記憶に新しいです。
まさかの一言に笑顔が凍り付く
そして先日、その先輩の送別会が、駅前の居酒屋で開かれました。主役の先輩は、当然のように上座に座り、お酒を片手に上機嫌です。
「みんな私が辞めたら寂しいよね?この課も静かになっちゃうか」「私がいたから、みんな成長できたんだよ?」
などと、いつもの自信満々な調子で周りに話しかけています。
正直、私たちの本音は「やっといなくなってくれる…」という安堵でいっぱいでしたが、そこは大人の対応です。愛想笑いを浮かべながら、当たり障りのない相槌を打っていました。
宴もたけなわ、いよいよ最後の挨拶の時間になりました。
まず部長が「長年お疲れ様でした」と無難なスピーチを終え、次に、今年入ったばかりの、一番若い後輩の女の子が花束を持って立ち上がりました。
先輩は「えー、泣いちゃうかも〜!」なんてハンカチを目元に当てています。後輩は緊張した面持ちで先輩の前に立つと、深々と頭を下げ、そしてハッキリとした声でこう言ったのです。
「先輩。短い間でしたが、本当に、本当に『色々なこと』を教えていただき、ありがとうございました」
一瞬、感動的なスピーチが始まるのかと、私たちは固唾を呑んで見守りました。
「特に、先輩が私たちに見せてくださった『仕事への姿勢』は、決して忘れません」
ん…? なんだか雲行きが怪しくなってきました。
後輩は続けます。
「『こういう言い方をすると、相手がどれだけ傷つき、やる気を失うか』ということ。そして、『自分の都合だけで周りを振り回すと、どれだけ全体の効率が悪くなるか』ということを、先輩は身をもって私たちに示してくださいました」
会場がシン…と静まり返りました。さっきまで上機嫌だった先輩の笑顔が、ピシリと固まっています。
「私たちは、先輩という素晴らしい『反面教師』のおかげで、チームワークと、人を思いやることの大切さを痛感できました。これからは先輩がいなくなりますが、学んだことを活かして、みんなで助け合い、もっと風通しの良い職場にしていきます! 本当に、お世話になりました!」
後輩は、満面の笑みで花束を先輩に突き出しました。
一瞬の沈黙の後、誰からともなく拍手が起こり、それは次第に大きな拍手になりました。たぶん、その場にいた全員の心の声だったのでしょう。
先輩は、顔を真っ赤にしたり青くしたりしながら、震える手で花束を受け取っていました。何か言い返したそうでしたが、何も言えないようでした。
その後のことは、あまり覚えていません。ただ、送別会が終わって店を出た時の夜風が、とても心地よかったことだけは鮮明に覚えています。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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