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「家出したい」小学生の娘のつぶやき。ランドセルの奥に隠れていた、あるメモが理由を告げていた【短編小説】
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娘のつぶやき
ある日の夕食時、小学3年生の娘がポツリとつぶやきました。
「ねぇ、お母さん。私、家出したい」
その言葉に、私は箸を取り落としそうになりました。
娘の顔は俯いていて見えませんでしたが、最近の彼女の様子を思い返すと、胸が締め付けられました。
共働きで忙しい私は、平日は夕食の準備や家事に追われ、娘とゆっくり話す時間が減っていました。
娘が学校から帰っても、「おかえり」を言うのが精一杯。
土日も疲れ切って、ついスマホを見てしまうこともありました。
「どうしたの? 何か嫌なことがあったの?」
そう聞いても、娘は何も答えてくれません。
「別に」と小さな声で言うだけで、食卓の上のご飯をスプーンでつつくだけでした。
これは私のせいだ。私がちゃんと向き合ってあげられていないからだ、と自責の念にかられました。
ランドセルから見つけたメモ
その日の夜、私は娘の部屋で、翌日の準備のために赤いランドセルを開けました。
教科書やノートを出し、一番奥まで手を入れようとした、その時です。
いつもは空っぽな小さな内ポケットに、折りたたまれた何かが挟まっているのを見つけました。
「これは何だろう?」
そっと引き出してみると、それは手のひらサイズのメモ用紙でした。
娘の、まだ幼い字で、一生懸命書かれた文字が並んでいます。
お母さんは、いそがしそう。
いつも、わたしより、おしごと。
学校でも、わたしは一人。
もう、どこにもわたしの場所がない。
「どこにもわたしの場所がない」という一文を読んだ瞬間、私の頭の中に響きました。
娘が「家出したい」と言ったのは、つらい学校の状況に加え、家庭でさえ居場所がないと感じていたからだったのです。
ランドセルの奥に隠されたこのメモは、娘が必死に書いた、私に向けた寂しさのSOSでした。
私はすぐに娘の布団の横に行きました。ぐっすり眠っている娘の小さな頬に手を当てました。
「ごめんね。寂しい思いをさせて、ごめんね」
涙が止まりませんでした。
翌朝、私は出勤前の準備を少し早く切り上げ、娘をぎゅっと抱きしめました。
「ママは、どんな時も、あなたの一番の味方だよ。忙しくても、あなたのことを一番大切に思っているよ」
娘は、一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに私に抱きつき、小さな声で「うん」と言ってくれました。
このメモを見つけたことで、私は自分の忙しさを言い訳にせず、娘としっかり向き合う時間を作ろうと心から決意しました。子どもの言葉の裏に隠された真の寂しさや苦しみに、親として気づくことの大切さを、痛いほど思い知らされた出来事でした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
※本コンテンツのテキストの一部は、生成AIを利用して制作しています。
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