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俳優と女優の違いとは? なぜ女性も「俳優」と呼ばれるの? 言葉の背景とジェンダー、海外の最新事情を徹底解説

【結論】「俳優」と「女優」最大の違いと、今起きている“変化”

結論俳優と女優最大の違いと今起きている変化

 

言葉の定義:「俳優」は総称、「女優」は女性の俳優

まずは基本の整理から始めましょう。「俳優」と「女優」は、辞書の上では明確な定義を持っています。

俳優(はいゆう)とは、演劇や映画、テレビなどで役を演じることを職業とする人の総称です。元々は性別を問わない言葉であり、英語の”Actor”(アクター)に近いニュアンスを持っています。

一方で、女優(じょゆう)は、この俳優という職業に就いている人のうち、女性だけを特に指すために使われてきた言葉です。

例えば、かつて「看護婦」という言葉が女性を指し、「看護師」が性別を問わない総称になったのと同じように、「女優」は性別を限定する呼び方だと言えます。

つまり、もともと「俳優」は男女を包括する言葉であり、女性が「俳優」と呼ばれることは、言葉の本来の意味からすれば全く間違いではありません。

なぜ今「女優」ではなく「俳優」と呼ぶのか?

本来の定義はそうであっても、長らく日本では「男性=俳優」「女性=女優」と慣習的に使い分けられてきました。

それが今、急速に変化し、女性をあえて「俳優」と呼ぶ傾向が強まっているのはなぜでしょうか?

その最大の理由は、職業を性別で区別することへの違和感と、ジェンダー平等の価値観の高まりです。

演技というスキルやキャリアに、性別は関係ありません。にもかかわらず、「俳優」という総称があるにもかかわらず、女性だけを「女優」と区別して呼ぶことに対し、「なぜ女性だけが性別を明記されなければならないのか?」「女性の演技者にだけ、性別による付加的なイメージが求められてしまうのではないか?」という疑問の声が、業界内部や社会全体から上がるようになったのです。

この変化は、エンタメ業界が、性別や年齢に関係なく、純粋に「演技力」や「表現力」というプロフェッショナルな能力に焦点を当てて評価しようという、現代社会の姿勢を反映していると言えるでしょう。

私たちは今、「俳優」という言葉が持つ本来の「プロフェッショナルな演者」という意味に立ち返りつつある、まさにその過渡期にいるのです。

なぜ? 女性が「俳優」と呼ばれるようになった3つの社会的背景

【背景1】ジェンダー平等とポリティカル・コレクトネスの高まり

女性が「俳優」と名乗るようになった背景には、世界の潮流となっている「ジェンダー平等(ジェンダー・イクオリティ)」の考え方が深く関わっています。

グローバルな視点で見ると、企業や組織の役職、あるいは職業において、性別で区別する表現を避ける「ポリティカル・コレクトネス(PC)」の意識が非常に高まっています。

例えば、かつては「ビジネスマン」と呼ばれていたものが今では「ビジネスパーソン」に、「セールスマン」が「セールスパーソン」に変わってきたのと同じで、性別を排除したニュートラルな呼称が社会的なスタンダードになりつつあるのです。

エンタメ業界も例外ではありません。

性別に関わらず「演じる」という同じ仕事をしているのに、女性だけを性別で限定する呼称を使うことは、平等性に反するという考えが根付いてきました。

この社会的な後押しが、女性が「俳優」と名乗る強い根拠となっています。

【背景2】「女優」という言葉が持つ“無意識の”ステレオタイプ

私たちが長年使ってきた「女優」という言葉には、実は多くの“無意識の”ステレオタイプが内包されていました。

「女優」と聞いて思い浮かべるイメージは、「華やか」「美しい」「若々しい」といった外見的な要素や、ロマンスや恋愛といった「女性ならではの役割」に偏りがちではありませんでしたか?

逆に、男性を指す「男優」という言葉はあまり一般的ではなく、「俳優」という言葉が主に使われてきました。

この呼称の差は、女性の演技者に対して、「演技力」以上に「女性らしさ」や「若さ」を強く求めるという、業界や社会の期待(あるいはプレッシャー)を反映していた側面があります。

つまり、「女優」という言葉の裏には、女性だけが外見や年齢に厳しい目を向けられ、役柄も限定されがちだったという構造的な問題が潜んでいたのです。

女性たちが「俳優」という呼称を選ぶことは、そうしたステレオタイプから解放され、性別や外見ではなく、純粋なプロフェッショナルとしての演技力と表現者としての個性で評価されたい、という強いメッセージが込められています。

【背景3】当事者(女性)の意志:「一人の演技者」としてのキャリア観

そして何より大きいのは、現場で活躍する女性たちの「プロとしての意志」です。

GLAM読者の皆さんも、仕事で「女性だから」という理由で任される業務や、逆に任されない業務に、違和感を覚えた経験があるかもしれません。それはエンタメ業界も同じです。

女性の演技者たちが「俳優」という呼称を自ら選ぶのは、「私は女性という枠組みの中の演者ではない。性別に関係なく、この道のプロフェッショナルである」という、揺るぎないキャリア意識の表明です。

求められるのは、性別を超えた「人間」としての奥深さや、多様な役柄を演じきる力。

彼女たちは、自身の仕事が「性別」という限定的なラベルで括られることを望まず、「私は性別を超えた、ひとりの演技者である(Actor)」と、明確な意思表示をしているのです。

これは、現代を生きる私たち自身の、働き方や生き方に対する意識とも共鳴する、非常に重要な変化だと言えます。

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