親友の笑顔を奪ったのは、整形でもコンプレックスでもない。隣で笑う「完璧な彼氏」だった【短編小説】

親友の笑顔から光が消えた日

私の親友、真紀の太陽みたいな笑顔が大好きでした。でも、その笑顔はいつからか、見られなくなってしまいました。

きっかけは大学時代の二重整形。長年のコンプレックスが消え、驚くほど明るくなった彼女を見て、私は心から「よかったね」と言いました。しかし、彼女の美への探求は、そこでは終わりませんでした。

「次は鼻を高くしたい」「次は顎をシャープに」と、会うたびに彼女の顔は少しずつ、でも確実に変化していったのです。

そして、いつからか気づいてしまいました。彼女の笑顔が、まるで作り物のように硬いことに。
口角は綺麗に上がっていても、目が全く笑っていないのです。それは無理やり顔の筋肉を引き上げているような、どこか痛々しい笑顔でした。

「もう十分すぎるくらい綺麗だよ」と私が言うと、彼女は力なく笑います。「でも、彼氏が、ここのラインがまだだって言うから…」。 彼氏の春樹くんは、誰が見ても素敵な人でした。でも私には、彼が真紀を自分の価値を上げるためのアクセサリーのように扱っている気がして、どうしても好きになれませんでした。

笑顔を奪った彼氏

ある日、私は聞いてしまったのです。カフェで春樹くんが友人に自慢げに話しているのを。

「あいつ？俺の言う通りに顔を変えるから、マジで面白いよ。元の顔とか信じられないくらいだったし」

怒りで震える手で、私はその会話を録音しました。
それを聞かせた時の真紀の、絶望から静かな怒りへと変わっていく表情を、私は一生忘れません。

数日後、真紀は春樹くんを呼び出しました。「私は、あなたのお人形じゃない」。

きっぱりと言い放った彼女の顔は、今までで一番強く、美しく見えました。

彼の元を去る彼女の目には涙がありましたが、その口元には、昔の面影がある、本物の笑顔が確かにありました。

作り物の美しさから解放され、本当の自分を取り戻す彼女の戦いは、今、始まったばかりです。

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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