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駐輪場で「勝手に場所を使うな」と言われた私。→名義を確認したら逆に謝られた【短編小説】

引越し先の駐輪場で言われたクレーム
私の名前は亜矢。
現在のマンションに引っ越してきて、一ヶ月ほど経った頃のことでした。
部屋に一台ずつ割り当てられた駐輪場の、指定された番号の場所に、いつものように自転車を停めていると、背後から厳しい声が飛んできました。
『あなた、新しく越してきた方?ここの場所は、うちが使わせてもらっているのよ。勝手に停めないでちょうだい』
声の主は、同じマンションに住む、年配の木下さんでした。
私は、管理人さんから、この場所を使うようにと指示されたことを、丁寧に説明しました。
しかし、彼女は「前の住人は、うちに譲ってくれていた」「あなたもそうするのが筋だ」と、全く聞く耳を持ちません。
らちが明かないと感じた私は、「一度、管理人さんに確認してみます」とだけ伝え、その場を離れました。
翌日、私は管理人室を訪れました。
事情を説明すると、管理人である佐藤さんは、すぐに駐輪場の契約者名簿を取り出してくれます。
「お客様は、305号室の鈴木様ですね。はい、12番で間違いありません」
佐藤さんは、名簿の私の名前を指差しました。
そして、ふと、隣の欄に目をやり、不思議そうな顔をします。
「木下様は、402号室ですので、お隣の13番のはずですが…」
その時、佐藤さんは、何かに気づいたように「ああ!」と声を上げました。そして、驚きの事実を私に教えてくれたのです。
まさかの事実
なんと、私が越してくる前に、この305号室に住んでいたのが、木下さんの息子さんである健司さんだったというのです。
つまり、彼女は、息子が引っ越した後も、空いたその場所を、自分のものだと思い込んで、勝手に使い続けていたのでした。
その後、佐藤さんと一緒に、木下さんの元へ向かいました。
佐藤さんから名簿を見せられ、事実を突きつけられた彼女は、みるみるうちに顔を真っ赤にしていきます。
『…すみませんでした。私の、勘違いでしたわ』
蚊の鳴くような声で、彼女はそう言って、私に頭を下げました。
高圧的な態度で、私から当然の権利を奪おうとした木下さん。
しかし、名義という、動かぬ証拠の前では、彼女も非を認めざるを得ませんでした。
理不尽な要求には、感情で対抗するのではなく、冷静に事実を確認すること。その大切さを、身をもって学んだ出来事でした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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