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夫が会社を辞め、貯金ゼロに。→10年ぶりに社会復帰した専業主婦が見つけた『私の生きる道』【短編小説】

「会社、辞めることにしたんだ」
結婚10年目、夫のタカシが突然そう告げた。私は専業主婦として、タカシが稼いでくれたお金で平和な毎日を過ごしていた。タカシは有名企業に勤めており、収入も安定していた。しかし、彼は新しい夢を見つけたと言い、何の相談もなく会社を辞めてしまったのだ。
「大丈夫だよ、すぐに新しい仕事見つけるから」
と彼は安易に言ったが、私はすぐに不安になった。家計を預かる私が確認した貯金口座の残高は、なんとゼロ。タカシは会社の同期と始めた投資で、ほとんどのお金を溶かしてしまっていたのだ。私は、奈落の底に突き落とされたような気分だった。
崖っぷちからの再出発
私の平和な日常は、一夜にして崩壊した。家賃、光熱費、食費…すべてのお金が、私に重くのしかかる。タカシは転職活動をすると言いながら、やる気のない日々を過ごしていた。このままでは、私たち夫婦の生活は破綻してしまう。私は、この崖っぷちの状況から、自分で這い上がるしかないと決意した。
10年ぶりの社会復帰。これまで家事と育児しかしてこなかった私に、一体何ができるのだろう。不安で押しつぶされそうになりながらも、私は就職活動を始めた。履歴書を書き、面接に臨む日々。しかし、ブランクのある私を雇ってくれる会社はなかなか見つからなかった。
そんな中、私は昔から好きだった「整理整頓」を活かして、整理収納アドバイザーの資格を取得することを思いついた。家事の経験を強みに変え、自分のスキルを磨く。それが、私にとっての希望の光だった。
私は、もう誰かに頼らない
資格を取得し、私は個人事業主として整理収納アドバイザーの仕事を始めた。最初は小さな仕事からだったが、お客様一人ひとりと丁寧に向き合ううちに、私の評判は口コミで広がっていった。仕事は順調で、気づけばタカシの収入を上回るほどになっていた。
ある日、タカシが申し訳なさそうに言った。「美咲、本当にごめん。俺がちゃんとしていれば…」。私は微笑んで言った。「ううん、あなたが会社を辞めてくれたから、私は新しい自分に出会えたの。ありがとう」。
私はもう、誰かの収入に頼って生きる「専業主婦」ではなかった。自分の力で稼ぎ、自分の人生を切り開く。あの崖っぷちの日々が、私を強くしてくれたのだ。
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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