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「仕事できる俺」と豪語する同僚。PCから“勤務中ゲーム”の証拠を掴み、人事部に通報【短編小説】

短編小説仕事が速いと豪語する同僚PCを借りたら大量のゲームが→勤務時間中のアクセスログを全て取得し人事部に突き出した末路

仕事が早い同期の秘密

私の同期の田中君は、いつも自信満々でした。
「仕事は効率が全てだよ」が彼の口癖。
どんなに忙しい日でも、涼しい顔で誰よりも早くオフィスを去っていく彼の背中を見送るたび、私は自分の要領の悪さを少し恥ずかしく思っていました。
なぜなら私が夜遅くまでかかって仕上げるような資料も、彼はまるで魔法のように数時間で片付けてしまうのです。

その日、事件は起きました。
翌日に迫った大切なプレゼンの準備中、私のパソコンがうんともすんとも言わなくなってしまったのです。締め切りは目前、パニックになる私を見かねた上司が、「田中はもう今日の仕事は終わったそうだ。彼のPCを借りなさい」と指示してくれました。

「美奈さん、マジですか。まあ、いいですけど」少し大げさにため息をつきながらも、田中君は快くPCを貸してくれました。
彼の席に座り、急いで作業を再開した時ふとデスクトップの隅にある「個人用」というフォルダが目に入りました。

個人用フォルダーの中身を見てしまった

ほんの出来心でした。彼の仕事術の秘密がわかるかもしれない。
そんな淡い期待でフォルダを開いた私の目に飛び込んできたのは、びっしりと並んだオンラインゲームのアイコンでした。
まさかと思い最近使ったアプリケーションの履歴を確認すると、そこには信じられない記録が残されていました。
平日の昼間、それも数時間にわたっていくつものゲームが起動されているのです。

これが、彼の「仕事の速さ」の正体…。
全身の力が抜けるような感覚と、静かな怒りが同時にこみ上げてきました。
私が必死に働いている時間に彼は遊んでいた。
これは会社に対する、そして真面目に働く私たち同僚に対する裏切りではないでしょうか。

数日間悩みましたが、この不正を見過ごすことはできませんでした。
私は会社のコンプライアンス部門に、匿名で相談することを決意しました。
事情を説明すると、担当者は正規の手続きとして、情報システム部による利用状況の調査を提案してくれました。
私はそれに同意し、全てを会社の判断に委ねることにしたのです。

それから一ヶ月後。
田中君は、就業規則の重大な違反を理由に、懲戒解雇処分となりました。
彼のデスクが静かに片付けられていくのを見ながら、私は後味の悪さを感じていました。
でも同時に職場の公正さが守られたことに、どこか安堵している自分もいたのです。
本当の「仕事」とは、誠実さの上に成り立つもの。
私は彼の空っぽになった席を見つめながら、その当たり前の事実を噛み締めていました。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

 

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