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「結婚はまだ?」と煽る叔母。私が稼いだ金で買った“ある物”を贈ったら、顔面蒼白で撃沈【短編小説】

親戚が集まるたびに、私の心をえぐってくる人がいます。それは、私の母の妹である叔母です。
会うたびに繰り返される「結婚は?」攻撃
「由美ちゃんも、もう30歳でしょ?いい人いないの?女の子の幸せは、やっぱり結婚して家庭に入ることよ」
それが、叔母の挨拶代わり。私は都内のIT企業でプロジェクトリーダーを任され、年収だって叔母の旦那さんよりずっと多い。仕事にやりがいを感じ、自分の力で生きる毎日は、とても充実しています。
でも、叔母の世界では、そんな私のキャリアは「女の幸せ」の物差しには入らないようでした。 「そんなに働いてばかりいると、婚期を逃すわよ」「男の人は、自分より稼ぐ女なんて敬遠するのよ」 心無い言葉の数々に、私はいつも笑顔の仮面を貼り付けて、やり過ごしてきました。
私が稼いだお金で買った“ある物”
次の正月、私は大きな決意を胸に、親戚の集まりへと向かいました。 案の定、私を見るなり叔母は例の口撃を始めます。
「由美ちゃん、また一人で来たの?私の若い頃はねぇ…」
長々と続く武勇伝を遮り、私は一つの大きな紙袋を叔母に突き出しました。
「叔母さん、いつも私の将来を心配してくれてありがとう。これは、私からの感謝のしるし」
「あら、なあに?」と嬉しそうに紙袋を覗き込んだ叔母の顔が、次の瞬間、凍りつきました。 中に入っていたのは、都心に立つ新築タワーマンションの分厚いパンフレットと、一枚の「仮契約書」のコピー。
「え…?なに、これ…」
顔面蒼白で黙り込んだ叔母
私は、最高の笑顔で言いました。
「私、このマンションを買うことにしたの。頭金も、もちろん自分で稼いだお金で一括で払ったわ。叔母さんがいつも『女の幸せは安定した家庭(家)を持つことだ』って言うから、まずは自分で手に入れてみたの」
パンフレットには、誰もが知る高級マンションの名前。そして仮契約書の私の署名。それは、叔母が一生かけても手に入れられないであろう“資産”でした。
「叔母さんの時代は、それを旦那さんに買ってもらうのが“幸せ”だったのかもしれない。でもね、今は違うの。私は、自分の力で幸せ(家)を買える。結婚は、そのあとで私が選びたい人とするわ」
叔母は、顔面蒼白のまま、何も言えずに私を見つめていました。 周りの親戚たちも、その光景をただ静かに見守っています。
長年、私を苦しめてきた叔母の価値観を、私が自分の力で手に入れた「現実」で打ち破った瞬間でした。 それ以来、叔母が私の前で結婚の話をすることは、二度とありませんでした。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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