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プレゼントを「安物」と貶され別れも考えたけど、彼が忘れた“箱”を見て、私は怒るのをやめた【短編小説】

プレゼントを安物と貶され別れも考えたけど彼が忘れた箱を見て私は怒るのをやめた短編小説

誕生日プレゼントに納得いかない彼氏

「この腕時計、安物っぽくない?」

彼氏の圭介から誕生日プレゼントとして手渡された腕時計をつけた私に、彼が放った一言でした。
付き合って初めての誕生日。
ずっと楽しみにしていましたが、その言葉に心臓がキュッと縮こまるのを感じました。

たしかに、それは私が知っている有名ブランドのものではありませんでした。
デザインはシンプルで、悪く言えば少し地味かもしれません。
でも、彼が私のために選んでくれた。その事実だけで、胸がいっぱいになるはずでした。

「そ、そうかな?私は素敵だと思うけど…」

なんとか笑顔で返しましたが、圭介は「うーん、店で見た時はもっと良く見えたんだけどな」と納得いかない顔で腕を組みます。
せっかくの誕生日なのに、気まずい空気が流れました。
彼に悪気がないのは分かっていましたが、プレゼントにケチをつけられたような悲しい気持ちは、なかなか消えませんでした。

部屋の隅にあった”小さな紙袋”

その出来事から数日後。
圭介が私の部屋に遊びに来て、慌てて帰っていきました。
しばらくして「ごめん、紙袋忘れちゃった!また今度取りに行く!」と連絡が。
部屋の隅に、彼が忘れていった小さな紙袋がぽつんと置かれていました。

何気なくその紙袋を手に取り、中を覗いてしまったのが全ての始まりでした。

中に入っていたのは、空の箱。
私が持っているどんな小物入れよりも上質で、高級感あふれる、有名ブランドのロゴが箔押しされた腕時計の箱でした。
そして、その中に一枚のレシートが。

「……え?」

心臓がドクンと大きく鳴りました。
まさか、他の女性へのプレゼント?最悪のシナリオが頭をよぎりながら、震える手でレシートを広げました。
そこに印字されていた商品名と型番を、私は食い入るように見つめました。
そして、自分の腕にはめられた!安物っぽい”と言われた腕時計に目を落とします。

全く、同じものでした。

意外な結末

私は急いでスマホで型番を検索しました。
画面に表示されたのは、まぎれもなく私の腕にある腕時計。
そして、その横には信じられないような価格が表示されていました。
安物どころか、私が今まで持ったどんな物より高価な品でした。

全てを理解しました。
圭介は、ブランドの価値やデザインに疎い人。
彼なりに奮発して、この高価な腕時計を買ってくれたのです。
でも、彼の目には、その価値が分からず、ただ”安物っぽく”見えてしまった。
彼の言葉は、私を傷つけるためではなく、彼の素直すぎる感想だったのです。

忘れていった豪華な箱と、私の腕で時を刻む腕時計。
そのギャップに、私は怒るべきか、呆れるべきか、それとも愛おしく思うべきなのか…複雑な気持ちで、ただ笑うしかありませんでした。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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