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「その服、男ウケ最悪w」と見下す同僚。後日、その服を着た私が雑誌の表紙だと知り顔面蒼白に【短編小説】

私の会社の同僚、沙耶さんは、常に恋愛と“モテ”が世界の中心。彼女の評価基準はただ一つ、「男ウケするかどうか」でした。
「男ウケ」が世界の全ての同僚
「え、美咲のそのブラウス、可愛いけどさ、男ウケは最悪だよねw」
私が新しく買った、少しアシンメトリーなデザインのお気に入りのブラウスを着て出社した日のこと。沙耶さんは、周りに聞こえる大きな声で、私にそう言い放ちました。
「私は、自分が好きな服を着てるだけだから」
私がそう返すと、彼女は「ふーん、まあ、恋愛に興味ないならいいんじゃない?」と、勝ち誇ったような笑みを浮かべました。彼女にとって、ファッションとは男性に媚びるためのツールでしかないのです。そのくだらない価値観に、私は内心うんざりしていました。
休憩室に置かれた、一冊のファッション誌
事件が起きたのは、それから一週間後の昼休みでした。 後輩の女の子が、興奮した様子で休憩室に駆け込んできました。
「見てください、先輩!私が一番好きな雑誌、『STYLE+』の最新号、今日発売なんです!」
彼女はそう言って、テーブルの上にそのファッション誌を置きました。パラパラとページをめくる彼女の隣で、沙耶さんも「へぇ、どんなのが流行ってるの?」なんて言いながら、雑誌を覗き込んでいました。
そして、運命のページが、開かれました。 それは、今シーズンの「主役級トップス」を特集した、見開きのページ。そこには、数人のモデルが並んでいました。
“男ウケ最悪”な服を着た、表紙の私
「あ…!」
最初に声を上げたのは、後輩の女の子でした。彼女は、雑誌と私の顔を、信じられないという表情で交互に見つめています。
「美咲先輩…これ、先輩ですよね!?この前の、あのブラウス…!」
彼女が指さしたページの中央には、沙耶さんが「男ウケ最悪」と笑ったあのブラウスを、プロのスタイリングで完璧に着こなした私が、堂々とポーズを決めていました。
「“媚びないスタイル”こそ、新しい時代のスタンダード」という大きな見出しと共に。
沙耶さんは、そのページを見たまま、凍りついていました。さっきまでの自信に満ちた表情はどこへやら、みるみるうちに顔が青ざめていくのが分かります。
「え、すご…!先輩、モデルさんだったんですか!?どうりで、あのブラウス、めちゃくちゃオシャレだと思いました!」
後輩の純粋な称賛の声が、静まり返った休憩室に響き渡ります。 私はお茶を一口飲むと、顔面蒼白の沙耶さんに向かって、にっこりと微笑みました。
「ありがとう。でも、この服、男ウケは最悪らしいから、気をつけてね?」
私のその一言が、彼女の小さな価値観を木っ端微塵に打ち砕く、何よりの反撃になったことは、言うまでもありません。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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