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【短編小説】「ネタバレ注意って書いたじゃん」と悪びれずに最新映画の結末をSNSに投稿する友人。→彼の投稿を”ミュート&ブロック”しただけじゃ済まない。

ネタバレする嫌な友人
私の友人である拓也は、昔から悪気なく人の楽しみを奪ってしまう天才でした。
特にひどいのが、映画やドラマの「ネタバレ」です。
先日も、私が公開をずっと心待ちにしていたミステリー映画がありました。
週末に観に行く約束を友人と取り付け、完璧な計画を立てていたのです。
それなのに、公開初日の夜、拓也はSNSに信じられない投稿をしました。
「【ネタバレ注意!】今回の映画、犯人は意外なあの人だった!」
その一文に続いて、物語の根幹を揺るがす結末がはっきりと書かれていました。
「ネタバレ注意」という警告文なんて、何の役にも立ちません。
タイムラインに流れてきたその数行で、私の数ヶ月間の楽しみは一瞬にして消え去ったのです。
すぐに「ひどいよ!なんであんなこと書くの!」と抗議のメッセージを送りました。
すると、拓也からは「え?だって『ネタバレ注意』って書いたじゃん。クリックして読んだそっちが悪いんじゃない?」と、まったく悪びれない返信が。
この無神経さに、私は怒りを通り越して、もはや呆れてしまいました。
彼のアカウントをミュートして、ブロックして…。
でも、それだけでは私のこの悔しい気持ちは収まりません。
私は、彼に「やられた側の痛み」を分からってもらう必要があると考えたのです。
同じ痛みを味わってもらいたかった
そこで私は、ある計画を立てました。
拓也が毎週欠かさず観ている、リアルタイムで進行する人気の恋愛リアリティショー。
これを利用しない手はありません。
私は共通の友人である真由と健太に協力を仰ぎ、最終回の放送日を待ちました。
そして運命の日。
番組がクライマックスを迎え、終わった直後。
まだ拓也が録画で見終えていないであろう絶妙なタイミングを狙って、私たちはグループチャットに一斉に書き込みました。
「まさか、最後に彼女が選んだのが彼だったなんて!」
「あの告白シーン、感動したね!」
もちろん、番組の最も重要な結果についてです。
数秒後、拓也から「おい!最悪だ!まだ見てなかったのに!」と怒りのスタンプが連打されてきました。
私はすかさず返信します。「え、ごめん!でも、みんなでこの感動を共有したくて!」。それは、いつも彼が私たちに言っていたセリフそのものでした。
この一件以来、拓也からの無神経なネタバレ投稿は嘘のようになくなりました。
少しやりすぎてしまったかもしれませんが、人の楽しみを尊重することの大切さを、身をもって学んでくれたのだと信じています。
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本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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