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【短編小説】自分の誕生日だけ「手料理で祝って」と甘える彼。あまりに自己中なので、彼の好物を”原価計算”してプレゼントした結果…。
自己中な彼との誕生日トラブル
これは、あまりにも自己中心的だった元カレ、健太（けんた）との誕生日をめぐるお話です。
私の誕生日は、いつもファミレスでのお祝いと、雑貨屋で買った数千円のプレゼント。
もちろん気持ちは嬉しいのですが、もう少し特別な日として祝ってほしいな、という思いが年々募っていました。
それなのに、健太は自分の誕生日が近づくと決まってこう言うのです。
「俺の誕生日は、美咲の手料理がいいな！愛情たっぷりのフルコースで祝ってよ！」
彼は私の料理を褒めてくれましたが、その言葉を自分の都合の良いように使っているだけ。
私の誕生日への配慮のなさを棚に上げて、自分だけは特別扱いを要求するその態度に、私の我慢は限界に達していました。
彼の誕生日当日
「お腹すいたー！ごちそう、まだ？」とウキウキで私の家に来た健太。
しかし、テーブルの上には料理ではなく、一通のおしゃれな封筒が置かれているだけでした。
「誕生日おめでとう、健太。これ、プレゼント」
私が笑顔で手渡すと、彼は不思議そうな顔で封筒を開けました。
中に入っていたのは、メッセージカード…ではなく、一枚の明細書でした。
【健太くんの誕生日ディナー・プレゼント内訳】
・国産牛のローストビーフ（材料費）：3,800円
・魚介のパエリア（材料費）：2,100円
・特製ホールケーキ（材料費）：1,800円
・調理労働費（4時間分）：4,000円
【合計金額：11,700円】
ポカンとする彼に、私はにこやかに言いました。
「あなたのリクエストに応えるための愛情の原価、計算してみたの。この現金で、好きなものを食べに行ってね！」
健太は一瞬固まった後、「どういうことだよ！俺は手料理が良かったのに！」と声を荒らげました。
私は冷静に返します。
「私の誕生日はいつも合計5千円くらいだったよね？だから、ちゃんと差額分も上乗せしてプレゼントしたよ。とっても優しいでしょ？」
私の言葉に、彼は何も言い返せなくなりました。
自分のしてきたことを突きつけられ、顔を真っ赤にして黙り込んでいます。
この出来事がきっかけで、私たちはすぐに別れました。
彼にプレゼントした現金は、私自身が手にした「自由」へのチケット代だったのかもしれません。
自分を大切にすることの重要性を学んだ、忘れられない誕生日プレゼントになりました。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
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