Share
「貯金1000万は常識w」と語る同期。彼の金持ちアピールSNSを、社内グループに誤爆した【短編小説】

私の同期の健司は、意識の高い“自称”エリート。会議で横文字を使いたがり、ランチの時間には私たちに向かってしたり顔で語り出すのが日課でした。
自称“若き成功者”の、鼻につく口癖
「お前らさ、もっと将来のこと考えた方がいいって。俺?俺はもう資産運用始めてるし。30歳までに貯金1000万円とか、まあ常識だよねw」
同い年の私たちを見下すその態度に、誰もが内心うんざりしていましたが、波風を立てるのも面倒で、いつも曖昧に笑って聞き流していました。
彼の“裏アカウント”で見た、衝撃の正体
そんなある日、私は共通の友人から、健司の“裏アカ”とされるSNSアカウントを教えてもらいました。そこには、私たちの知る健司とは全く違う、もう一人の彼がいました。
高級腕時計、タワマンの夜景、ブランド品の数々…。しかし、その投稿には、小さな文字でこう添えられていたのです。
「#パパありがとう」「#おねだり成功」「#親ガチャ当たり」
そう、彼の輝かしいセレブ生活は、すべて親のお金。彼は、親のスネをかじりながら生きる“なんちゃってセレブ”だったのです。その事実を知ってから、彼の自慢話は、私の中で滑稽な一人芝居にしか見えなくなりました。
社内グループに投下された“自爆テロ”
事件が起きたのは、月曜の朝のことでした。 全社員が入っている社内連絡用のLINEグループに、健司から一件の通知が。
そこに投稿されたのは、高級外車のキーをこれみよがしに握りしめた彼のドヤ顔写真。そして、衝撃的な一文が添えられていました。
「これで俺も親父とオソロの車w 頑張って働いてる皆、ごめんなー! #なんちゃって成功者 #パパ活ならぬ親活」
一瞬、グループの空気が凍りつきました。 おそらく彼は、裏アカに投稿するつもりが、間違えて会社全体に発信してしまったのでしょう。数秒後、メッセージは慌てて取り消されましたが、時すでに遅し。数十人の既読がついた後でした。
“なんちゃってセレブ”の、静かなる末路
翌日、会社に来た健司は、幽霊のように青白い顔をしていました。誰も、昨日の誤爆について直接口にする人はいません。
しかし、昼休み。いつものように健司が「いやー、このままだと日本の将来が…」と語り始めた瞬間、向かいの席の先輩が、にっこり笑って言いました。
「健司君はご両親が立派だから、将来も安泰でいいねぇ」
その一言で、食堂の空気がクスクスという笑いに包まれました。健司は顔を真っ赤にして俯き、それ以降、彼が自慢話をすることは二度とありませんでした。 彼の化けの皮は、彼自身の指一本で、見事に剥がされてしまったのです。
本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
Feature
おすすめ記事