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「無駄遣い」と言う彼が、ソシャゲに月5万課金。→明細を叩きつけ「これは何?」と問い詰めた【短編小説】

無駄遣いと言う彼がソシャゲに月5万課金→明細を叩きつけこれは何と問い詰めた短編小説

 

私には、同棲して1年になる彼氏がいます。彼の名前は拓也。真面目で、将来のために節約を心がけている、しっかり者の人…だと思っていました。あの日までは。

 

彼の口癖は「それ、無駄遣いじゃない?」

「あれ、美月。そのリップ、新しくない?また買ったの?無駄遣いはほどほどにしないと、将来が不安だよ」

私がささやかな楽しみで、月に一本買うかどうかの新作コスメ。それを見つけるたびに、拓也は決まって大きなため息をつき、私を諭すようにそう言うのです。 彼の言う「将来」という言葉の重みに、私はいつも「ごめんなさい」と謝って、小さな罪悪感を抱えていました。

 

偶然見てしまった、彼の“本当の金遣い”

ある週末の夜、拓也が「ちょっとコンビニ行ってくる」と席を立った隙に、彼のつけっぱなしのタブレットに通知が届きました。 それは、クレジットカードの利用明細のお知らせでした。

何気なく画面に目をやった私は、そこに並んだ文字列に釘付けになりました。

【聖魔晶石パック(特大) ¥10,000】 【期間限定ガチャ10連チケット ¥5,000】 【SSR確定スターターセット ¥8,000】

それは、彼がハマっているスマートフォンゲーム、いわゆる「ソシャゲ」の課金履歴。スクロールしても、スクロールしても、終わりが見えません。合計金額を見ると、この一ヶ月だけで5万円を遥かに超えていました。

私には「リップ一本が無駄遣い」と言いながら、彼はゲームのキャラクターのために、毎月私の給料の4分の1をつぎ込んでいたのです。 怒りよりも先に、全身の力が抜けていくような、虚しい気持ちになりました。

 

一枚の“明細”という名の、反撃の切り札

私は、何も言いませんでした。ただ、その明細画面をすべてスクリーンショットし、コンビニのプリンターで印刷しました。数日分のレシートのように長くなったその紙を、私は静かにバッグにしまいました。

反撃のチャンスは、すぐにやってきました。 私が新しい本を一冊買ってきたのを見つけた彼が、また例のため息をついたのです。 「美月…。だから、無駄遣いは…」

「拓也」

私は彼の言葉を遮り、バッグからあの“切り札”を取り出しました。そして、彼の目の前のテーブルに、バサッと叩きつけたのです。

「…これは何?」

 

無駄遣いだったのは、彼との“時間”

彼が印刷された明細に目を落とした瞬間、その顔からサッと血の気が引いていくのが分かりました。 「こ、これは…その、ストレス解消というか、自分への投資というか…」

しどろもどろになる彼に、私は冷たく言い放ちました。 「私の2,000円の本は“無駄遣い”で、あなたの月5万円のゲームは“自分への投資”?そう」

私は、自分の荷物をまとめるために、静かに立ち上がりました。

「本当の無駄遣いが何か、教えてあげる。あなたみたいな偽善者と過ごした、この一年の時間よ」

もう、彼の返事を聞く必要はありませんでした。私にとって一番の「無駄遣い」は、彼の隣で罪悪感を抱いていた、あの時間そのものだったのですから。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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