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私の料理を“映え”目的で食べ残す彼氏。→彼のSNSに、残飯の写真を投稿してやった【短編小説】

私の料理を映え目的で食べ残す彼氏→彼のSNSに残飯の写真を投稿してやった短編小説

 

私の彼氏、健太は、フォロワー10万人を超えるちょっとした人気インスタグラマーでした。

彼の投稿のほとんどは、私が作った手料理の写真。「#彼女ごはん」「#おうちカフェ」といったハッシュタグと共に、テーブルいっぱいに並んだ料理の写真は、いつもたくさんの「いいね」を集めていました。

 

撮影時間は1時間、食事は5分

「あかり、今度の週末はローストビーフがいいな。もちろん、野菜の飾り切りも忘れずにね?」

健太にそう言われるたび、私は複雑な気持ちを抱えながらも、彼のために腕を振るいました。スーパーを何軒も回り、珍しい野菜を探し、彩りを考えて盛り付ける。でも、彼が本当に求めているのは、私の料理の“味”ではありませんでした。

食卓に料理が並ぶと、健太の“撮影会”が始まります。自然光が入る角度を探し、何十枚も写真を撮り、完璧な一枚を選んで加工する。その時間は、いつも1時間以上。そして、投稿を終えると、彼は満足した顔で席に着くのです。

「うん、今日も最高に映えてるね」

そう言って、彼は料理にほんの少し口をつけるだけ。ほとんど手つかずのまま残されたお皿を見るたび、私の心は冷えていきました。私の愛情も、食材も、すべてが彼のSNSの「いいね」のために消費されていくだけなのだと。

 

彼のフォロワーに“本当の姿”を

ある日、私は彼の誕生日祝いに、3日間かけて煮込んだビーフシチューと、手作りのホールケーキを用意しました。 案の定、彼は大喜びで写真を撮り、「#誕生日ディナー」「#彼女に感謝」と投稿。そして、スプーンに2、3口運んだだけで「ごちそうさま」と言ったのです。

その瞬間、私の中で何かが切れました。

彼がお風呂に入っている隙に、私は彼のスマートフォンを手に取りました。そして、無残に残されたビーフシチューと、一口しか食べられていないケーキの写真を撮ったのです。

私は彼のインスタアカウントから、新しい投稿をしました。

「いつも『#彼女ごはん』を見てくれてありがとう!これが、僕がいつも食べている“リアルな食事風景”です!たくさん残しちゃってごめんね! #食べ残し #フードロス」

 

最高の「いいね」

投稿した直後から、コメント欄は騒然となりました。 「え、これどういうこと?」「いつも完食してるんじゃなかったの?」「食べ物を粗末にするなんて最低」 彼のフォロワーたちは、次々と本当の姿に気づいていきました。

お風呂から上がってきた彼は、スマホを見て顔面蒼白。私を睨みつけましたが、もう遅い。

「私の料理は、あなたの“映え”の道具じゃないの。さようなら」

私はそう言い残し、彼のアカウントからログアウトしました。私の心は、彼の投稿がもらったどんな「いいね」よりも、ずっと晴れやかでした。

 

本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。

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