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私の昇進を妬む上司「どうせ社長に媚びたんだろ」。あまりに悔しくて、次の大型案件で彼を”実力”で叩き潰すと決意した。【短編小説】
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昇進を妬む上司に覚えた悔しさ
「今回の昇進、おめでとう。まあ、社長にうまく媚びた結果らしいな」
課長の佐藤さんが、書類の山から顔も上げずに言い放ちました。
その声は、祝福とは程遠い冷たい棘を含んでいます。
新しく課長補佐になった私への、最初の言葉がそれでした。
悔しさで唇をぐっと噛みしめます。
部署の誰よりも早く出社し、深夜まで残って資料を作り、休日も市場調査を欠かさなかった日々。
その努力の全てが、根拠のない一言で汚された気がしました。
怒りで体が震えましたが、ここで感情的になっても意味がありません。
「ありがとうございます。ご期待に添えるよう、精一杯頑張ります」
私は平静を装い頭を下げました。
心の中では静かな炎が燃え上がっています。
言葉で言い返すのは簡単です。でも、それでは彼と同じレベルになってしまう。
ならば、結果で示すしかないと思いました。
次の大型案件、会社の未来を左右すると言われるプロジェクトで、彼を”実力”で叩き潰す。
そう固く決意しました。
その日から、私の本当の戦いが始まりました。
大型案件の担当に自ら手を挙げ、膨大な資料の読み込みから始めます。
佐藤課長は、そんな私を鼻で笑っているようでした。
「無駄なことだ」とでも言いたげな視線を感じます。
しかし、私は気にしませんでした。
彼の評価のためではなく、自分のプライドとそしてプロジェクトの成功のために、全力を尽くすと決めたのです。
運命のプレゼンの日
そして、運命の役員プレゼンの日がやってきました。
私が提案の骨子を説明し具体的な戦略を語り始めると、会議室の空気が変わるのを感じます。
予想される質問には、すべて的確なデータで答えました。
緻密な準備があったからこその、自信が私を支えてくれます。
最後に、社長が口を開きました。
「素晴らしい。君の熱意と、この計画の緻密さはよく分かった。ぜひ、このプロジェクトを君に任せたい」
その瞬間、隣に座っていた佐藤課長の顔から色が消えました。
彼が何か言おうと口を開きかけましたが、言葉にならないようです。
会議室にいる誰もが、私の実力を認めてくれた瞬間でした。
プレゼンが終わると、社長が私のそばに来てそっと肩を叩きました。
「君の頑張りは、ずっと見ていたよ。昇進は、その正当な評価だ」
その言葉が何よりのご褒美でした。
佐藤課長の悔しそうな顔が視界の隅に映りましたが、もう気になりません。
私は誰に媚びるでもなく、自分の力でこの場所を勝ち取ったのです。
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