Share
「映画観るより自己投資しろ」と意識高い系セミナーに勧誘してくる先輩。→「年間100本映画を観るのが私の自己投資です」と一蹴した。【短編小説】

“意識高い系”の先輩からのLINE
「久しぶり!〇〇(私)って、最近なにか自己投資とかしてる?」
大学時代のサークルの先輩・神谷さんから、突然LINEが届いた。2年ぶりくらいだろうか。
「まあ、映画観たり、読書したりですかね」と返信した瞬間、怒涛の長文が始まった。
映画?娯楽じゃん!
いま成長してる人は、実践型セミナーで“スキルと人脈”を同時に得てるよ?
人生変えるには環境を変えるしかないよ?
てことで、今週末のセミナー、参加しない?
ああ、これだ。これこれ。
久々の再会LINEが、結局“意識高い系セミナーの勧誘”だったパターン。
「映画は娯楽」は大きな誤解
彼の言葉には、何よりも“映画=無駄”という決めつけがあった。
でも私は、ここ数年で年間100本以上の映画を観ることを“習慣”にしている。
泣いたり、怒ったり、ゾッとしたり――
人の感情を追体験できる映画は、言ってみれば“人間観察の最高峰”。
登場人物の選択やセリフは、実際のビジネスや恋愛、人間関係のヒントになることが多い。
セリフ1つ、表情1つで世界が変わることを、映画は教えてくれる。
それを“娯楽”と切り捨てるのは、視野が狭いんじゃないか?
一蹴したLINEの返信
私は短く、こう返した。
年間100本映画観てるんです。
それが私にとっての最高の自己投資です。
セミナーは不要なので、どうぞご心配なく。
それ以降、神谷さんからのメッセージは途絶えた。
たぶん、私は“勧誘できない人リスト”に入ったのだろう。
でも構わない。
自己投資のかたちは、人それぞれでいい
高いお金を払って誰かの成功体験を聞くのもいい。
でも私は、スクリーンの中で誰かの人生を追体験し、そこから自分なりの「学び」を抽出していく方が、ずっと意味があると思っている。
“自己投資”とは、時間の使い方の哲学だ。
外見や肩書きよりも、自分の「感じる力」と「考える力」を養うことが、長い目で見れば最強の武器になる。
Feature
おすすめ記事