心地良い日差しが降り注ぐ春ですが、この時期から気になり始めるのが紫外線です。真夏のかんかん照りの日に限らず、雨の日だって紫外線は発生しているうえに、5月〜9月が一年で最も紫外線量の多い時期。シミ・シワ・そばかすなど肌の老化を一気に加速させ、皮膚ガンなどの病気を引き起こす可能性もあるため、美容健康面に配慮して紫外線対策を万全に行っている日本人女性は多いはず。
しかし、フランス女性の考え方は真逆で、「焼けてこそ夏」と言わんばかりに紫外線対策とは無縁! 日焼けは夏を楽しんだ勲章であり、“バカンスに行ける余裕のある人”の象徴であるという価値観を持っているのです。男女問わず、夏に「焼けているね」と言われるのは最高の褒め言葉。
バカンスではもちろんですが、週末に公園の芝生の上で水着になって日焼けをする人もちらほら。夏になるとセーヌ川沿いに、砂を敷いてパラソルを立て、砂浜に見立てたスペース『Paris Plage(パリ・プラージュ)』が登場します。2001年から始まった催しで、7月〜8月の1ヵ月限定ですが、毎日多くの人で賑わいます!
バー、カフェ、アイスクリーム屋さんなども特設され、セール川を眺めながら水着でバカンス気分を味わうといったパリの夏の風物詩としてすっかり定着しました。

(昨年のParis Plageの様子)
日本女性とフランス女性でこれだけ紫外線対策に差があるのは、欧米系の肌はシミができにくいという肌質の違いが要因の一つ。美白系スキンケアは存在せず、肌の白さに対する美意識の違いははっきりとしています。かといって日焼けサロンも存在しないので、あくまでも自然に日焼けした肌が好まれるよう。男性からも「日焼けの水着跡はセクシーだ」という言葉を耳にします。
美容面での紫外線対策はしないものの、最近では紫外線が病気を招くという事実が周知され、子どもも大人も日焼け止めの需要は徐々に上がっているようです。日本よりは断然種類が少ないですが、薬局やスーパーにも日焼け止めが並んでいます。
しかし、日傘は差している人も売られているところも見たことがありません。日本に行ったことがあるというフランス人の友人は、日焼け用のアームカバー、顔を覆う大きなサンバイザー、さらに日傘を自転車に差して走っている女性の姿が不思議に映ったようで、こっそり隠し撮りした写真を出して「なんで真夏にこんな格好なんだ!? どうしてそんなに日焼けが嫌なの?」と興味深そうに質問されました(笑)。
筆者自身は小麦肌がヘルシーで素敵だなぁと思いますが、シミは避けたい……。夏に行くリゾート先では、顔だけはしっかり紫外線対策をし、体はこんがり日焼けさせる予定。体に合わせてファンデーションのカラートーンを落とし、顔も日焼け風にするのが自分なりの最善策です。フランス人から「エリー、焼けたね」の褒め言葉をもらうべく、太陽と仲良くできる夏にします!