Rieko Shibazaki
Rieko Shibazaki

2017.07.26(Wed)

映画界よ、悔い改めろ。女性のパワーをなめたらいけない!

『ワンダーウーマン』

ようやく時代がワンダーウーマンに追いついた!
世界的に大ヒットを記録し、世界興行収入が800億ドル(約880億円)突破間近の『ワンダーウーマン』がついに日本でも公開になる。

©2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.AND RATPAC-DUNEENTERTAINMENT LLC

ワンダーウーマンはDCコミックという、スーパーマンやバットマン、キャットウーマンなどが所属する出版社のキャラクターで(対するアベンジャーズやスパイダーマンなどはマーベル・コミックという別の出版社所属)、女性だけの部族「アマゾネス」のプリンセス。この部族は女戦士集団でとにかくめちゃくちゃ強いのだけど、劇中でその中の最強戦士アンティオペを演じているのがロビン・ライトというだけで、のっけからテンションはマックスに! そして誰も男という生き物を見たことがないこのアマゾネスの島に、人間の男性、それも「一般男性の平均以上の男」クリス・パインが迷いこんで来たのをきっかけに、ワンダーウーマンがこの島を離れ世界救済に人生をかけることになる。

愛に泣き、衣装替えにうっとりし、アクションに興奮し、お宝シーン(クリス・パイン)になぜか笑うという感情が大忙しの141分なのだが、なによりもカッコイイのが今作を監督したパティ・ジェンキンス。ジェンキンスはシャーリーズ・セロンに肉体改造をさせてすっぴんで挑ませた『モンスター』(03)で知られる監督だけど、『モンスター』以来1本も映画は監督していない。なぜならそれは今作の製作がずーーーーーーーっと長引いていたため。ハリウッドは大金を投資するエンターテイメント作品を女性に任せることを嫌い、なかなか製作が進行しなかったのだ。その間にベン・アフレックのバットマンやヘンリー・カヴィルのスーパーマンがスクリーンに登場し、想定していたほどの共感も興行も獲得できず、ジャスティス・リーグに不穏な空気が流れていた。その救世主こそがパティ・ジェンキンスであり、彗星の如く現れたガル・ガドット演じるワンダーウーマンだったのだ。世界を救うことを使命に戦うワンダーウーマンは、男たちが生み出した赤字を埋め、ジャスティ・リーグを救ったのだ。ジェンキンスは今作の大ヒットでめでたく女性監督して最高興収を記録している(今後その額はもっと伸びるし!)。

ワンダーウーマンを演じているガル・ガドットも、今作までは無名の女優だった。つまりハリウッドのスタアを起用せずとも、男性がさまざま権利を振り回したり口出ししなくても、素晴らしいヒット作が生まれるというのを証明したという意味でも素晴らしい作品なわけ。

ちなみにガル・ガドットはイスラエル人なのだけど、イスラエルでは市民権&永住権を持つ男女はともに兵役義務があり、18歳以上が徴兵される。そのためガドットも20~22歳の2年間戦闘トレーナーとして軍に仕えていたて元兵隊(と言っても、兵役義務を終えても招集がかかることがあるそうなので、元ではなく兵隊と言ったほうが正しいか……)。しかも32歳の彼女は二児の娘の母で、世界を救いながら育児もこなすというパワフルな女性なのだ。男性に決定権があったら、絶対に子持ち女優をヒロインに選ぶことはなかったはず。そこもまたすごい!

そう言えば、以前『トイ・ストーリー3』を監督したリー・アンクリッチを取材をした際に、彼が「世の中で一番微妙な立ち位置にいるおもちゃが、バービーの恋人のケンだと思う」と言っていた。なぜなら「ケンは男の子なのに女の子用のおもちゃで、その上女の子たちはみんなバービーと遊びたがるから」と。確かにケンはいつでもバービーの脇役で、女の子たちはケン単体で遊ぶことは絶対になく、彼はバービーが所有するバッグや靴と同等のアクセサリーという扱い。だからケンは『トイ・ストーリー3』で思いっきりやさぐれた感を出していたんだけど、逆を言えば彼ほど女性が男性のアクセサリーとして扱われることのフラストレーションを知る男はいないだろう。

つまり男性たちは自分がケンの立場に立って今作を観たら、いかに『ワンダーウーマン』が女性にとって一歩進んだ作品かが分かるはず。でも女性が強く、賢く、自立してしまったら、自分たちのやるべきことがなくなってしまうから、男性たちは怖いんだろうな。まあ、なかには女の子たちに遊ばれ、アクセサリーとして輝くケンの立場がいいというメンズもいるだろうけどね。悲しいかな女性の中にも未だに働いて自立するよりも、男性に頼って生きるのが勝ち組だと思っている人たちがいるように……。

『ワンダーウーマン』
監督:パティ・ジェンキンス
キャスト:ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト
8月25日(金)全国ロードショー 3D/2D/IMAX
公式サイト

【追記】
ワンダーウーマンの原作者であるウィリアム・モールド・マーストンは、ハーバードで心理学の博士号を取得し、最初の嘘発券機の発明者人物でもある(だからワンダーウーマンの武器に、投げ縄に捉えられると真実を告白せざるおえなくなる「真実の投げ縄」がある)。ハードコアなフェミニストで避妊などを提唱した先駆者であると同時に、3人の女性と暮らし、SMのボンデージプレイに興じてフェミニストとは反対に女性を縛りあげていたなど、コミック原作者の秘密や、コミックが誕生した経緯などが分かるジル・ルポール著の『The Secret History of Wonder Woman』がすごく面白いので、チャンスがある人は合わせてぜひ読んで欲しい。これ翻訳本出ないんだったら、自ら翻訳したいくらい。

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