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「私が頼んだものではない」ランチの混雑についていけなかった私。だが、客の優しさに救われた瞬間

ランチの混雑についていけなかった私
若い頃、飲食店でホールスタッフのアルバイトをしていたときのことです。
働き始めて間もない私は、注文を覚えることや料理を運ぶことで精いっぱいでした。
特にランチの時間帯は、次々とお客様が来店します。
注文を取って厨房へ伝え、出来上がった料理を運び、空いた食器を片付ける。
その流れについていくだけで、毎日頭がいっぱいになっていました。
忙しくなるほど焦ってしまい、伝票を確認したはずなのに料理を出すテーブルを間違えそうになることもありました。
先輩からは「急がなくていいから、必ず席番号を確認してね」と教えられていましたが、周囲が慌ただしくなると、つい自分まで急いでしまったのです。
その日も、店内はほぼ満席でした。
私は出来上がった料理を受け取り、伝票を見ながら年配の男性が座るテーブルへ向かいました。
「お待たせいたしました」
そう言って料理を置こうとしたとき、男性が不思議そうに皿を見ました。
「これは、私が頼んだものではないと思うよ」
慌てて伝票を確認すると、隣のテーブルへ運ぶ料理でした。
「大変申し訳ございません」
私はすぐに料理を下げ、先輩へ報告しました。幸い、男性の注文した料理はすでに出来上がっており、間もなく運ぶことができました。
それでも私は、忙しい時間にお客様を余計に待たせてしまったことが申し訳なく、なかなか顔を上げられませんでした。
「慌てなくて大丈夫だよ」
改めて謝ると、男性は怒ることなく、穏やかな口調で言いました。
「慌てなくて大丈夫だよ。忙しいと間違えることもあるから」
責められると思っていた私は、思いがけない言葉に少し驚きました。
男性はそれ以上何も言わず、運ばれた料理をゆっくりと食べ始めました。
食事を終えて会計に来たときも、男性は伝票を渡しながら、「ごちそうさま」と声をかけてくれました。
私はもう一度頭を下げ、「ありがとうございました」とお礼を伝えました。
その一件だけで、急に仕事ができるようになったわけではありません。
その後も小さな失敗はありましたが、焦ったときほど伝票と席番号を確認するようになりました。
また、失敗した自分を責め続けるのではなく、まずは落ち着いて必要な対応をすることが大切だと考えられるようになったのです。
忙しい店内でかけてもらった、わずかなひと言。
それでも当時の私にとっては、気持ちを切り替えるきっかけになる、忘れられない言葉でした。
※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。
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日々の暮らしや選択を通して生まれる気持ちの変化に目を向け、人生を自分らしく整えていくヒントを届ける編集部チームです。仕事や人間関係、暮らしの質、価値観の揺らぎ。さまざまなテーマを横断しながら、今の自分にとって心地よい選択とは何かを考え、無理のない距離感で情報を発信しています。ときには短編小説の力も借りながら、日常にそっと寄り添い、気持ちを軽くするようなライフスタイルコンテンツをお届けします。
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