
アイルランド出身のロックバンド、U2は昨年11月にドナルド・トランプ(Donald Trump)が米大統領選で勝利したため、ニューアルバムのリリースを延期した。
ギタリストのジ・エッジ(The Edge/本名:デヴィッド・ヒューウェル・エヴァンス、David Howell Evans, 55)によると、メンバーは『Songs of Experience』というタイトルのニューアルバムの仕上げ作業に入っていたが、物議をかもす発言にもかかわらず不動産王のトランプ氏が衝撃的な勝利を収めたことを受け、アルバムを見直すことにしたという。
「選挙が突然世界を変えてしまったんだ」とジ・エッジは米Rolling Stone誌に語っている。「『ちょっと待ってくれ、このレコードと、これが世界で起きていることにどう関係しているかを
考える時間を持とう』という話になった」
さらに彼はリリース延期の理由を説明した。「ほとんどの曲は2016年の早い段階で書かれていたが、みんなも同意してくれると思うけれど、今は世界が違う場所になってしまったんだ」
U2は『Songs of Experience』を発表する代わりに、代表作ともいえるアルバム『ヨシュア・トゥリー』の30周年を記念するツアーを敢行する。同アルバムがリリースされた1987年は、政治的な議論を巻き起こした右派政権がイギリスとアメリカで権力を握っていた。
またジ・エッジは、
性的暴行、白人至上主義者への集票活動、腐敗した事業活動などで批判されたトランプ氏がアメリカの次期大統領に選出されるという世界における政治的な混乱で、30年前に世に出たアルバムが改めて現代の問題に直結したと説明した。
「これほど色々な変化を経て、また元の位置に戻ってきた作品は今までなかったと思う。『どういうことだろう、これらの曲が3、4年前にはなかった新しい意味を持ち、現代と新しい共鳴をしている』と感じたんだ」
「まるで思いがけない発見だった。ニューアルバムは少し延期して、リリースする前にもう一度考え直し、自分たちの主張をちゃんと反映していると確信する必要があると気づいたんだ」
「ヨシュア・トゥリー・ツアー 2017」は5月12日、カナダのバンクーバーで開幕する。
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