
映画監督のポール・グリーングラス(Paul Greengrass)は、『007』シリーズ最新作でメガホンをとるつもりはまったくないようだ。
グリーングラス監督はスパイ映画に精通しており、『ボーン』シリーズでは3本の監督を務めた。マット・デイモン(Matt Damon)は先日、自分が演じるジェイソン・ボーンのほうがジェームズ・ボンドより好きだと語っているが、グリーングラス監督はオスカー俳優のデイモンに賛同している。
英BBCのラジオ局Radio 4の番組「トゥデイ」に出演した監督は、ボンド映画のメガホンをとりたいかと質問されると、「正直に言うと、本当にノーだ」と答えた。「(『007』シリーズのプロデューサー)バーバラ(・ブロッコリ、Barbara Broccoli)とは知り合いだし、話し合ったこともある。自分のひいきのサッカーチームのようなものだよ。私はボーン派だし、ボーンが好きだ。以前も言ったことはあるけれど、(『007』は)もちろん本当にすばらしいシリーズだし、50年も続いている。その成功には敬意を表すべきだ」
また、先日の英Esquire誌とのインタビューで007のことを「女嫌い」だと語っていたデイモンと同じく、グリーングラス監督にとって最大の問題はボンドが象徴するものにある。ジェイソン・ボーンのキャラは今の時代に生まれたものだが、ジェームズ・ボンドは作者のイアン・フレミング(Ian Fleming)が原作小説を書いた1950年代にさかのぼる。
「映画人として個人的に言うと、ボンドが内包するものは英国、世界、男らしさ、力、帝国を表していて、自分とは共通するものがない」と監督は認めた。「むしろその正反対だ。一方でボーンが内包するものは懐疑とでも言うものだ。ものごとには自己と他者があり、ボーンは自己だがボンドは他者のために仕事をする」
「だから子どもの時にクラスの後ろでロールパンを投げつけていたような人として言うと、自分は間違いなくボーン側の人間だ」
シリーズ最新作『ジェイソン・ボーン』は日本でも10月に公開される。
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