
米オスカー俳優のショーン・ペン(Sean Penn)は、逃走中だったメキシコの麻薬王ホアキン・「エル・チャポ」・グスマン(Joaquin 'El Chapo' Guzman)受刑者が自分との極秘インタビューを望んでいたことに驚きを感じたと振り返った。
今月、米Rolling Stone誌にショーンとグスマン受刑者のインタビューが掲載され、世界中の注目を集めた。ショーンは昨年10月、その3ヶ月前に脱獄して逃走中だったグスマン受刑者とメキシコのジャングルにある隠れ家で面会。エル・チャポとの独占インタビューを認められたことは、自分でも驚きだったと話している。
「彼がリスクを冒してまで私たちの訪問を認めたことに衝撃を受けた」とショーンは17日に放映された米ニュース番組「60 Minutes」とのインタビューで認めた。「私たちと会いたいという気持ちに当惑を禁じ得なかった」
1月9日に世に出たショーンのインタビューは各方面で疑問を引き起こし、グスマン受刑者に自身の犯罪についてもっと突っ込んで聞くべきだったと批判する向きもある。しかしショーンは、それは自分の役目ではなかったと考えている。
「正義と法のルールは完全に理解しているからこそ、実験的ジャーナリズムと呼ぶ活動をしている」とショーンはつけ加えた。「殺人容疑や持ち込まれる麻薬の量について報告するのは私でなくてもいい。私はチームで現地を訪れ、時間をすごすだけだ」
しかしショーンは、せっかくのチャンスで成し遂げるつもりでいた、アメリカ政府の麻薬戦争について議論するという目的は果たせなかったと悩みも告白した。
「この記事に関するすべての議論が、麻薬撲滅戦争における政策について語るという目的を無視しているという後悔はある」とショーンは続けた。「ドラッグの問題を食い止めたいと誰もが思っている。消費しているのは私たちだからだ」
「ショーン・ペンに同意する、しないはさておき、この問題には共犯者がいる。あのインタビュー記事は目的を果たせなかった」
グスマン受刑者はショーンとのインタビュー後、当局によって身柄を拘束された。
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