レバノン出身のデザイナー、エリー・サーブ(Elie Saab)は、工房をパリとミランに持ちつつ、自身の名を冠した人気ブランドを出身国レバノンに本拠地を置いて展開、ファッション業界ではもう32年のキャリアを誇っている。
そんなエリ―だが、近い将来米国に自身のショップを開く意向を発表しに先週ニューヨークとLAのビバリーヒルズに登場したのが、実はアメリカで公的な場に現れた最初のこと。それだけに今後のアメリカ進出には、エリーの並々ならぬ意欲が感じ取れる。
「何かを企画する時には、大きな規模とビジョンで取り組みたいというのが、ぼくたちなんだ。物怖じする気はないよ。アメリカでの存在感を獲得して、ブランドを強くしたい」と、ビバリーヒルズ滞在中にファッション業界紙WWDに対して語ったエリー。
「アメリカに積極的に展開するのには、いまが適切なタイミングだと思っている。安定して高級志向がある市場がアメリカにある云々からでなく、会社をさらに次のレベルにまで発展させるために、いまがちょうど良いタイミングだからなんだ。ブランドを発展させるための企画はいろいろあるけれど、アメリカで自分たちのショップを開きたいのも、そのひとつ。近いうちに実現したいよ」
エリーが語る内容からは、海を越えてアメリカに進出するからには、大きな成功をあげなければ進出する意味がない、と彼が考えているのが見て取れる。今回の米滞在中には、「エリー・サーブ」を取り扱っている米デパート「ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)」 や「バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)」など、米有力リテイラーとのさらなる関係強化も着々と進めているようだ。
先週ビバリーヒルズで行われた同ブランドのプレタポルテのファッションショーは、婦人児童団体Blue Ribbon of the Los Angeles Music Centerの共催でとり行われ、慈善事業に熱心なエリーの一面も伺わせた。
「ファッション業界の内輪以外に自分のコレクションを披露する時は、何か慈善目的と関われあわせたいものだよ。ショーのためだけのショーというのは、どうにも好きじゃないんだ」と、エリーはつけ加えた。「ブランドの方針として、パリコレ以外は、原則何かの慈善団体を支援するためにショーをすることにしているよ」
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