ELIE INOUE

2017.05.25(Thu)

パリジェンヌと映画の関係性。日曜夜は映画館に集うのが新ルール

5月17日(現地時間)より第70回カンヌ国際映画祭が開催となり、連日華やかなドレスを纏ったセレブリティの様子が伝えられていますね。ファッション好きは映画よりもドレスに興味をそそられますが、多くのフランス人の注目はもちろん映画。

今年はAmazonやNetflixのような新参業者の作品がノミネートされ、「劇場公開されない作品を入れるのはいかがなものか」と業界内でも賛否両論、物議を醸しています。内容的には時勢を反映した政治的作品が多いこと、フィルムよりもデジタル作品が増えている傾向にあり。個人的には、カンヌ出席7度目となる河瀬直美監督の受賞を期待しています!

ところで、みなさんはどれくらいの頻度で映画館へ足を運びますか? 映画は好きだけど自宅派、という人も最近は少なくないはず。私自身はもともと映画が好きで、映画館でも自宅(Netflix)でもよく観ますが、パリに住んでからは格段に映画館へ行く頻度が上がりました。なぜならウィットに富んだ映画館が多いことと、料金が安いから。

自宅があるサンジェルマンデプレ地区は、徒歩10分圏内に7つの映画館があります(知らないだけでもっとあるかも!?)。大型の映画館といえばMK2、UGC、Gaoumontで、これらは日本でいうところのTOHOシネマズといった感じ。価格は映画によりますが10ユーロ〜13ユーロ程度(約1250円〜1625円)と日本よりもお安め。さらに、月17ユーロ(約2125円)で映画見放題といった年間契約プランもあり、かなりお得! 構えるのではなく、気軽にふらっと映画館に立ち寄るような、そんな存在なのです。

魅力的なのは、封切りの新作映画を上映する大型映画館だけでなく、名画やクラシック映画を上映する小規模な単独系映画館。席数50程度の小さな部屋で見ず知らずの人たちと映画を鑑賞する時間、意外と癖になるんです! 映画ももちろんですが、その空間に身を置くことも目的の一つ。料金は4ユーロ〜10ユーロ(約600円〜1250円)とリーズナブル。

シネフィルと呼ばれる映画ファンを満足させる独立系映画館の代表といえば、1938年開館のLe Champo(ル・シャンポ)。フランスの名画を中心に、各国の作品が日替わりで上映されています。ちなみに今週はデヴィッド・リンチ週間ということで『マホランド・ドライブ』や『ブルーベルべット』を観に行きました。

パリ北に位置するLuxor Palais du Cinema(ルクソール・パレ・デュ・シネマ)は最近若者に人気の映画館。1921年開館するも83年に一度閉館。2013年に地域開発プロジェクトの一環として復権し、アールデコ建築のバーを併設した映画館として生まれ変わりました。2階のテラスではお酒だけを楽しむこともでき、パリジャン・パリジェンヌで夜な夜な賑わいを見せています。

法律によって、ショップ・デパート・レストランなどは日曜日の営業をしないため、フランス人にとって週末は自宅でゆっくり過ごす、もしくは美術館・映画館に行くのが定番。法律も変わり最近ではその流れも変化しているものの、多くのフランス人にとっては日曜日は美術館・映画館で過ごすことが多いようです。待ち合わせはせず、Luxor Palais du Cinemaに気まぐれに集う日曜夜が、パリジェンヌたちの新ルールとなりつつあります。

 

芸術の国フランスにとって、映画は貴重な財産。フランスでは自国の映画を保護する法律があり、映画館は必ず一定の割合でフランス映画を上映しなければいけません。さらに、テレビ局は売り上げの一部を映画製作に出資することが法律によって義務づけられています。日本人とフランス人にとっての映画との距離感や関係性はかなり違うようです。フランスに訪れることがあれば、シネフィルの仲間入りをして、ぜひ映画館にも足を運んでみてください!

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