
■不気味さ漂う洋館
レガレイラ宮殿は、リスボンの北西にあるシントラの町外れにあります。前回のペナ宮殿は観光客が多いのに対し、こちらのレガレイラ宮殿は少し中心部から離れているためか観光客がまばらです。したがって、よりその不思議な雰囲気を味わうことができるのです。レガレイラ宮殿は12世紀の王族の別邸。20世紀前半になって城主の好みにより、イタリアのオペラ舞台設計士、ルイージ・マニーニの設計で改築されました。どことなく寂れて黒ずんだ尖塔、必要以上にデコラティブな外観…その町外れの洋館はまるでRPGの世界。

宮殿の姿が見えてくるにつれて、そのひとつひとつに得体のしれない冒険心が湧いてくるのです。門構えからして、なんだかゾクッとします。そしてそこに一歩足を踏み入れると、ヨーロッパのホラー映画に出てくるような古い洋館が私たちを待っているのです。
■井戸
宮殿の敷地は非常に広く、庭園には様々な仕掛けがあります。そのひとつが、深い深い階段井戸。螺旋階段で底まで降りることができるようになっています。深い井戸は何かに引き込まれてしまいそうな独特の雰囲気が漂い、底には更に横穴があってどこか別の建物に繋がっています。

■無数にある抜け道
地下にある真っ暗で洞窟のような抜け道もまた別の場所へと繋がっています。レガレイラ宮殿の楽しさは、無数にある横穴や洞窟、小道や扉がたいていどこかに通じているという点です。この穴はいったいどこに続いているのだろう?そんな子供時代に感じたようなワクワクした気持が蘇ってくるでしょう。
■謎めいたモチーフに不気味な彫像
この宮殿のあちこちには、様々なモチーフや像があり、そのどれもがなんとも不気味で謎めいています。妖怪のような動物、謎の子供、正体不明な立像…人気の無い宮殿の敷地内でふいに出会うと、思わずギョッとするかもしれません。


■塔
あちらこちらにある塔には全て登ることかでき、髙いところから宮殿の敷地を眺めることができます。塔や洞窟、抜け道、そのどれもが私たちを異世界に誘うかのような魔力をもっています。
■朽ち果てた温室
昔は花が咲き乱れていたのでしょうか。今となってはその温室はすっかり朽ち果てた姿で静かに佇み、夜な夜な魔法使いが薬草を摘みにきていてもおかしくないような雰囲気を醸し出しています。
■不思議の世界へ
シントラの町外れ、緑の中にひっそりと佇む古い洋館レガレイラ宮殿。太陽が覗かない悪天候の昼下がり、この館はより一層活き活きとその怪しさを増します。重厚な鉄柵からひとたび足を踏み入れればそこは不気味だけれど冒険心を煽って止まない不思議の世界。誰もが憧れる美しい景色や王道の遺跡巡りも良いけれど、時には少し変わったスポットに出掛けてみるのも良いかもしれません。
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“元添乗員の国外逃亡旅行記” http://mamfuj.hatenablog.com/