17.07.20(Thu)

“痩せ過ぎ”モデルに警鐘!ファッション業界に変化をもたらす、新たな美の基準

ELIE INOUE

ELIE INOUE Fashion Journalist

神戸の大学を卒業後、単身渡米。NYのファッション業界に携わり、雑誌のライター・コーディネーターとして経験を積む。現在はParisをベースにヨーロッパを駆け回りながら、海外取材やコレクションを通してトレンド分析・考察するジ...

ファッションやライフスタイルなど、最近では“多様性”を謳う傾向が強くあります。なかでも私が高く関心を寄せているのが、女性の美の基準について。ここ数年でファッションショーや広告に、実際の女性たちにより近いリアルサイズやプラスサイズモデルを起用し始めるなど、業界も動いています。この動向をさらに加速させているのが、ファッション大国であるフランスです。

プラスサイズモデルとして活躍するAshley Graham(アシュリー・グラハム)さん

昨年フランスで可決された新たな法律により、フランスで働くモデルは医師の診断による健康証明書を提出することが義務づけられたのです。健康状態の判断は性別や年齢を考慮したうえで医師に任されるそうです。違反した雇用者には、約1000万円以上の罰金や6ヶ月までの拘置もあるという、かなり厳しい内容。

この法律はモデル業界だけではなく、ファッション業界にも大きな変化を与えました。なぜなら、雑誌で修正済みの画像を使用した場合、その旨記載しなければならないということも決まったからです。街に溢れる雑誌や広告で修正・加工を加えていない画像なんてほぼ皆無! 法律可決後は、「修正なしです」との表記で、ありのままの美しさを映し出すことに注力した特集なども見かけるようになりました。

6月に日本で開催されたLouis Vuittonのショーでは、ある事件が起こりました。ランウェイを歩く予定だったデンマーク出身のモデル、Ulrikke Hoyer(ウルリッケ・ホイヤー)さんが自身のインスタグラムでこのように主張したのです。

「パリでのフィッティング(試着)をしてから来日したのに、キャスティング担当者に『お腹がでてるし顔がはれてるから、今から24時間摂取するのは水だけにして』と言われ驚きました」。結局彼女は解雇され、ショーに出ることはありませんでした。同ポストで彼女はこのようにも述べています「これが、運動を長く続けていたバックグランドを持つ20歳の私の身に起こったことで良かった。まだ自分自身に自信のない15歳の少女でなくて良かった、なぜならこの先長い人生を病気とともに歩まなくてはいけなくなるのだから」。

I just returned from Tokyo/Japan, where Louis Vuitton held a beautiful cruise show in Kyoto, I just never made it to Kyoto cause I was canceled for the show due to being ‘too big’. (I’m a size 34-36) Ashley Brokaw’s caster Alexia had said that there had been some problems during the fitting. According to her I had “a very bloated stomach”, “bloated face”, and urged me to starve myself with this statement “Ulrikke needs to drink only water for the next 24 hours”. I was shocked when I heard it. I woke up at 2am and was extremely hungry. The breakfast started at 6:30am – I had the absolute minimum. I was afraid to meet Alexia so my luck she didn’t arrive until 8am, when my plate was taken off the table. She said good morning to me and the other girls and looked at me, then down on my non-existent plate and up at me again. She was checking if I had been eating food. At 7pm my mother agent from Denmark called my to tell the sad news that Louis Vuitton had chosen to cancel me from the show without the refitting and that I was going to be sent back home. Not only did I have a belly, my face was puffy now also my back was a problem. I am glad I’m 20 years old with an elite sports background and not a 15 year old girl, who are new to this and unsure about herself, because I have no doubt that I would then have ended up very sick and scarred long into my adult life. TO READ THE FULL STORY CLICK IN MY BIO!!!!!!! #LVCruise2018 #mistreatmentofmodels #AshleyBrokaw #thefutureisfemale #sowhyeatingdisorders #youknowitstrue #shareifyoucare #jamespscully

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スリムで美しい身なりのモデルに憧れを抱くことは、美を磨くうえで原動力になり得ます。しかし、自分のアイデンティティがまだ確立されていない多感な10代は、憧れが劣等感へと進み、不健康なダイエットを試みてしまいかねません。インターネットとSNSの発展でたくさんの画像や映像に触れる機会が増えたことも、ますます懸念が深まる要因です。新たな法律は、3万〜4万人の拒食症患者を抱えるフランスが、若い女性に与える影響を考慮しての決定だそうです。 

真の美しさとは何か、美の基準をどこに置くべきか。さまざまな意見はあるかもしれませんが、健康であるからこそ議論できるのであって、自らの健康をあえて害してまで求める美は何の輝きも纏っていないように感じます。フランスだけでなくイタリアやスペインのモデル業界も健康基準となるボディマス指数を定めるよう乗り出しているので、今後この動きがどのような変化をもたらしていくのか注目です。