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17.07.21(Fri)

【現代恋愛図鑑】vol.17 性癖で繋がるふたりに未来はあるか ~マニアックセフレ~

島田佳奈

島田佳奈 作家/コラムニスト/AllAbout恋愛ガイド。

豊富な体験と取材から得た“血肉データ”による独自の恋愛観が定評。 『人のオトコを奪る方法』『アラフォー独女の生きる道』他、著作多数。

性とは、天から与えられた本質、人の生まれつきな事柄のこと。
性格、性根、本性、習性……どれも先天的なものであるが、こと「性癖」となると、なぜか「卑猥なもの」ばかりを想像し、過剰反応する人がいるから面白い。

あながち間違えてはいないが、なにも性癖は下半身に限ったものではない。
収集癖や虚言癖、窃盗癖など「わかっちゃいるけどやめられない」行動スタイルはすべて性癖であり、下半身に限定するならば、それは「性的嗜好」である。

セックスにおける性癖について尋ねると、たいていの人は「何もない」と答える。
前述の通り、本来の意味ならばほとんどの人に性癖はあるはずだ。「ない」と答える人は、その意味を「とてつもなく変態的な癖」だと誤解しているから、否定するのだろう。

「変態」という言葉の定義も、人により解釈は曖昧だ。
性的経験が少なかったり知識が乏しかったりすれば、ノーマルな男女のセックスにおける愛撫のバリエーションさえ「信じられない」と拒絶するかもしれない。反面、自身をノーマルだと思い込んでいれば、多くの人にとって想定外な行為さえも「普通」だと信じて疑わなかったりする。

Y子の彼は、ヒールフェチだ。といってもピンヒールで踏まれるようなSM的嗜好があるわけではなく、単に「ハイヒールを履いたままの女性と性行為をする」ことに萌える程度である。

その話をY子から打ち明けられた際、あたしはとっさに質問した。
「じゃあY子がハイヒールを履いていなければ、セックスは成立しないの?」
答えはノーだった。だが、やはり裸足なのとハイヒールを履いた状態とでは、彼の勃ち具合は明らかに違うらしく、Y子は「そのくらいで喜んでくれるならば」と毎回ハイヒールで事に及んでいるらしい。

半年後、Y子はそのヒールフェチな男と別れ、別の男とつき合うようになった。
別れた理由はY子の心変わり。他人の恋愛をとやかく言うつもりはないので、あたしは「Y子が幸せならばそれでいい」とコメントしなかった。

男と女の相性は、さまざまな要素が絡んでいる。まさかその後、Y子がヒールフェチの男とセフレ状態で続いているとは思わなかった。

「あのとき言わなかったけど」Y子は、ヒールフェチの男とのセックスが忘れられず、関係を切れなくなってしまったらしい。

土足のままベッドに横たわる習慣のない日本人は、ヒールを履いたまま行為に及ぶ場合、おのずとベッド以外の場所で「立ったまま」「ソファに座ったまま」交わることが多くなるらしい。
Y子は、それらの体位でなければ達することができなくなってしまった自身の「性癖」を、別の男とつき合いはじめて自覚した。

「今の彼は正常位でなきゃダメみたいで、物足りないの」
Y子は悪びれずに言った。

正常位でしか射精できないことだって、性癖のひとつだ。
たまたまY子と今彼は性癖が合わず、元彼とは絶妙な組み合わせが成立しただけのこと。

愛情と性癖を切り離せれば、物事はシンプルになるだろう。
だが、相手が同じように割り切っているとは限らない。

そうやって、男と女の間には秘密が生まれていく。