17.05.05(Fri)

【現代恋愛図鑑】vol.06 用途別に男を揃えたい~コレクション恋愛~

島田佳奈

島田佳奈 作家/コラムニスト/AllAbout恋愛ガイド。

豊富な体験と取材から得た“血肉データ”による独自の恋愛観が定評。 『人のオトコを奪る方法』『アラフォー独女の生きる道』他、著作多数。

その昔、バブル全盛期にはアッシー(車を出してくれる人)、メッシー(ごはんを奢ってくれる人)などと称した「ボーイフレンド以下」の男をキープしている女性がたくさんいた。当時女子大生だったあたしも例に漏れず、それらの男が何名かいた。

もちろん彼氏は別にいたし、アッシーやメッシー君を好きになることはない。彼らが自分に気があることを利用して、便利に使っていただけのこと。
アッシーもメッシーも、その立場を承知していた。あたしに呼び出されれば、ニコニコと尻尾を振ってやってきた。周囲の女たちも同じようにしていたし、あの頃は「男をコレクションできるのがいい女の証」だと思い込んでいた。我ながらひどい女だったと思う。

現代にも男をコレクションする女は存在する。ただし、バブル当時のように高飛車な女が男をはべらせているのとは違う。

知人の女は、趣味に合わせてボーイフレンドを調達している。
野球観戦なら野球オタクのA君、映画なら映画通のB君、美味しいワインと食事がしたいときはグルメなC君、仕事で悩んだときはビジネスパートナーのD君に相談、セックスがしたいときはセフレのE君……。あたしが聞いたのは5人だが、どうやら無尽蔵にその数は増えているらしい。

彼女がセレクトしている男たちは、ただの友達ではない。用途を決めているから会う場所は限られるものの、それそれとの間にほんのりした色恋は存在しているのだという。
「セフレじゃなくても寝てる男もいる」と彼女は言った。
ならばボーイフレンドが複数いるということになるのか、とあたしは訊いた。
「ボーイフレンドな男もいるけど、半分は出張ホストみたいなものよ」

彼女はセレブだ。たくさん稼いでいるから自由に遊べる金も多い。
行きたい場所、したいことに合わせて男をチョイスできるのは、そのデート代をすべて彼女が支払っているから。わずかでも愛情を持っているのは彼女の側だけで、相手の男はもしかすると「タダで自分の好きなところへ連れてってくれる」「趣味に使うお金を出してくれる」から彼女につき合ってくれるだけなのかもしれない。

「それって楽しい?」という言葉をあたしは飲み込んだ。自分の金をどう使おうと、どんな相手とどんなつき合い方をしようと彼女の自由。そこにちゃちゃを入れるのは野暮というもの。

バブル時代の女は、財布を開けないことがステイタスだった。景気がよかったから、どんな立場でも女に金を出させないことが男のプライドでもあった。

だが今はどうだろう。女が金で男を操れるようになった背景には、変なプライドを持たなくなった男たちの変貌と、女自身の金や男に対する価値観の変化がうかがえる。時代の移り変わりとともに、新しい男女関係が生み出されている。

おそらく逆の関係は成立しないだろう。いくら金で釣られようと、男の用途別コレクションの一部になるなんて、女は許さないに違いない。
コレクションな関係に甘んじられる男たちがいるからこそ、彼女の奔放な振る舞いも成り立っている。それはある意味、バブル当時の「いい女には男が群がる」縮図と変わらないのかもしれない。