17.04.14(Fri)

【現代恋愛図鑑】vol.03 彼氏のポジションは空けておきたい女心~仮氏~

島田佳奈

島田佳奈 作家/コラムニスト/AllAbout恋愛ガイド。

豊富な体験と取材から得た“血肉データ”による独自の恋愛観が定評。 『人のオトコを奪る方法』『アラフォー独女の生きる道』他、著作多数。

「仮氏」という造語を初めて知ったのは、とあるドラマだった。
仮氏とは、仮の彼氏のことである。そのドラマでは「仮の彼氏を作れば恋愛での余裕も生まれ、恋愛の自信もついてくる」「本命の男性に仮氏の存在をちらつかせることで、意中の男性にあなたのことを異性として意識させることができる」と説いていた。

いくらデートを重ねても、ときには一緒に朝を迎えても「仮」というのは、実に都合のいい関係だ。果たして仮氏当人は、自分が「彼氏ではない」ことを知っているのだろうか。

仮氏という言葉だけ聞けば「女にとって都合のいい男」のように思えるかもしれないが、実のところ男性側も「正式な恋人にするにはちょっと」な女を「仮女(かりじょ)」に置いているかもしれない。ただ、都合のよさとしてイーブンならいいが、相手が正式な恋人関係になることを望んでいるとしたら、ちょっとかわいそうな気もする。

仮氏は浮気相手とはちょっと違う。彼氏がいる前提でつき合っている他のボーイフレンドやセフレや男友達は、ここでいうところの仮氏ではない。あくまで「彼氏はいない」上で恋人みたいなつき合い方をしている男、だけど「彼氏としては認めない」存在が仮氏なのだ。

ここまで書いて、ふと思った。言葉としては新しいが、過去あたしにも「仮氏」のような存在に置いていた男はいたんじゃないかと。

つい最近まで、あたしは約2年半の間「彼氏募集中」の看板を掲げていた。だがその実態は、ボーイフレンドもセフレもいたし、彼氏のような彼氏じゃないような、まさに「仮氏」っぽい存在の男もいた。ひとつだけ違うとしたら、デートはしても肉体関係はなかったことくらいだ。

仮氏の定義はハッキリしていない。その裏に秘めた恋心があるのか否かは当人にしかわからない。
冒頭で述べたドラマにおける仮氏には、実にしたたかな女の思惑を感じるが、実際そこまで計算ずくで仮氏を作る女は少数派ではないかと思う。

男と女の恋愛には、定義できないような関係も数多くある。恋ですらないような、ドライなものも中にはある。そんなグレーゾーンのひとつである仮氏は、仮であるが故に自由度の高い存在なのではないか。

仮氏になることは、男にとって不名誉なことではない。むしろ「かゆいところに手が届く」存在になれるのであれば、出方次第では男の意中にうまくハマる可能性もありそうな気もする。

女心は複雑だ。仮氏に情が移らないとも限らない。
そういう意味でも「仮」に置いておくことは、揺れ動く女心を的確に表している関係なのかもしれない。