17.03.08(Wed)

【現代恋愛図鑑 Vol.01】リア充アイテムとしての男~インスタ彼氏~

島田佳奈

島田佳奈 作家/コラムニスト/AllAbout恋愛ガイド。

豊富な体験と取材から得た“血肉データ”による独自の恋愛観が定評。 『人のオトコを奪る方法』『アラフォー独女の生きる道』他、著作多数。


「彼氏にするならインスタ映えする男がいいよねー」
先日たまたまノマドしていたカフェで、隣のテーブルから聞こえてきた発言。インスタ映えというのは、写真投稿アプリ「インスタグラム」に載せてサマになるという意味らしい。

声の主は、ハタチくらいの女子。合間に就活の話題などしていたことから、おそらく大学生か専門学校生と思われる。冒頭の発言に、連れの同級生と思われる女子は「そうだねー」と同意していた。

「インスタ映え」とは、可愛い盛り付けの皿や、自身が可愛く映るロケーションやインテリアなど「写真に撮ってインスタにアップしたら『いいね!』がたくさんつく」モノやら場所のことだ。昨今、インスタのフォロワーを増やしたり『いいね!』をもらうことに命を燃やす女子は多い。インスタ映えする写真を撮るためだけに繋がっている「インスタ友達」と一緒に、オサレなカフェを巡回するのが趣味という子もいる。

写真を撮るのはいい趣味だ。SNSにアップしてリアクションが多ければ、楽しくなる気持ちもわかる。だけど、大衆からの反応ばかりを軸に生きるというのはどうかと思う。

スマホの向こうにいる不特定多数のオーディエンスばかりを気にして、目の前にいるインスタ友達とのコミュニケーションは二の次。カフェの食事のオーダーにしても、インスタにアップすることだけが目的で、味や好みは二の次……。
そんな彼女らにしてみれば、彼氏すらもインスタにアップするアイテムのひとつなのだろう。

「インスタ彼氏」とは、ただ見映えのいいイケメンのことではない。「ツーショットをアップされることに抵抗がない男子」という条件も多分に含まれる。実際、隣の女子大生が例に出したのは、あるテレビドラマで彼女とのツーショットをインスタにアップしている三浦翔平(※)だった。
※ドラマ『好きな人がいること』にて、三浦翔平と桐谷美玲がやっていた(役柄として)

ビジュアルがよかったり、センスのいいオサレ男子を好む「イケメン好き」は昔から一定数いたが、ネットを通じて世界中にツーショットを出すことに抵抗のない男子は、果たしてどのくらいいるのだろうか。一億総SNS時代の今となっては、別にそれほど気にしないものなのだろうか。別れた後、それらの写真はどうするのだろうか……老婆心ながら、いろいろ気にしてしまった。

他人の幸せを妬む人もいる。いくら公開範囲を限定しても、悪意は完全に防げるものではない。ネットに公開する以上、それらのリスクは覚悟したほうがいい。

とはいえ「見てみてー!」と全世界に幸せを振りまきたいラブな時期に、他人の悪意や別れるかもしれない未来のことなど想定できるはずがない。万が一別れたらネットクレンズ(全削除)するというのも、ある意味壮快なリセットだろう。

恋人をアクセサリーみたいな存在に捉えれば、必要以上に執着することもない。写真越しに切り取るだけの恋は、あっけなく過去ログへと葬られる。

好みより見映えが大事なのは、カフェのごちそうと同じ。彼女たちは「彼」を好きになるのではなく、絵になる彼氏と写る「私」が好きなのだ。