ファッションデザイナーのリック・オウエンス(Rick Owens)が、2016年春夏コレクションのランウェイで抗議活動したモデルを殴った。
リックは過激なファッションショーを行うことでも有名で、2015年秋コレクションでは男性の性器を露出させて物議をかもした。25日午前にパリで行われたショーでは最新メンズコレクションを発表したが、ある男性モデルがランウェイで抗議活動をしたことに激怒した。
ファッション業界紙「WWD」によるとジェラ(Jera)という名前のこのモデルは、「アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)を殺して下さい--否」と書かれた布を掲げ、独首相に言及した。
しかしリックはこの行動を受け入れられず、英Dazed誌デジタル版でことのてん末を説明した。
「アンゲラ・メルケルを殺せとか何とか書いてあったと思う。そうだよね? 僕のアイディアじゃないから分からない。彼がそれを取り出したから、僕はステージ裏で彼を殴ったよ」とリックは怒りをぶちまけた。彼はこの12年間、僕にとって男性ミューズだったし、ショーで何をやってもいいと勘違いしたんだろうが、僕の怒りは収まらない」
リックはWWDにこうつけ加えている。「彼が舞台から戻ってきたときに僕が殴ったのは、頭のおかしい、反抗的な役立たずのモデルだった。僕が殴ったことはぜひ伝えてほしい」
リックの最新コレクションは男性の攻撃性をテーマとしているだけに、今回のハプニングで余計に怒りが収まらないようだ。
「メンズコレクションの構想を練るときは、常に攻撃性が頭にある。なぜなら男性のDNAに埋め込まれているものであり、私も含めた男性全員が考え、悩んでいるものだからだ」とリックはDazedに説明した。「野望と効率が攻撃性に加わるのはいつなのか?という疑問をいつも考えている。そしてあのモデルは自分の攻撃性に流されてしまい、バランスを失った。アンバランスになったんだ。攻撃性に乗っ取られてしまった」
リックは今回のハプニングは計画したものではないと明言。会社を通じて発表された公式声明でも計画性を否定した。ブランドの精神を反映したものでは一切ない、「独自の声明」だとしている。
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