17.06.18(Sun)

【女子のケモノ道】 vol.07 映画で鑑みるコッポラ一家の結婚事情

宮坂 淑子

宮坂 淑子 DiFa 編集長

1974年生まれ。デジタルとファッションを繋ぐウェブサイト「DiFa」編集長(https://www.difa.me)フリーランスライター、ロッキングオ...

今月はジューンブライド特集ということで、私的な結婚ネタというかシングル母さんネタを集中して書いてきましたが、今日はちょっと趣旨を変えて、本来の自分の得意ネタと結婚をマッチングさせて話を進めさせてもらいます!

仕事を始めてから20年近く追っかけに追っかけているソフィア・コッポラ。私は結婚はアレでも(……。)ミーハー運だけはあるので、本人に取材&インタビューすること数回。コレクション会場で見つけて、話しかけて一緒に写真を撮ってもらうこと数回。東京の道端でばったり出会って道案内をしたこと1回(ロストインの撮影の最中に普通に青山を歩いていた。そして迷っていたので道案内してあげた)、映画に出ないかといってもらったこと1回(これまたロストイン。だが、撮影スケジュールがひっくり返って撮影現場に行けなかったという一生の不覚&後悔1回)。とソフィアに関してはラッキーが続くソフィアの超おっかけである。ついでに元夫のスパイクにもインタビューを数回持てた。が、現夫には、なかなかその手が及ばない。(今年のサマソニに期待:))

と、嫌味ったらしい自慢話をしてしまい恐縮ですが、本当にそのくらい、ソフィアが好きなんです〜ごめんなさいね。……というソフィア愛に日々溺れる私が一足お先に拝見してきたのが、ソフィアママ、そしてゴッドマザーことエレノア・コッポラ80歳にして初の長編監督となる『ボンジュール、アン』。先日のカンヌ国際映画祭では1961年以来、女性で2人目となる監督賞をとったソフィアを長女に。夫は言わずもがなのフランシス・フォード・コッポラと、映画一家のコッポラファミリーを牛耳る母がとるメガフォンは如何に?と、(作品そのものよりも)その背景に期待して映画館に出かけたところ、これがまあ、びっくりだったのですよ。

だって、期待を裏切らないそのままの家族のバックグラウンドすら訴える自叙伝的なストーリーだったから!

しかも結婚に悩める私たちの心に沁みるストーリーだったから!です。

PHOTO:ERIC CARO

エレノアさんだと思われる主人公アン(ダイアン・レイン)50歳が映画監督である夫のマイケル(アレック・ボールドウィン)と仕事先でのバカンスをカンヌで楽しもうとしていた矢先、夫の仕事にアクシデントが。その後、ハプニングが重なり、映画のコーディネーターをしていた夫の仕事仲間のフランス人男性ジャック(アルノー・ヴィアール/写真下:右)にパリに送ってもらうという長いドライブと共に物語は始まる。

PHOTO:ERIC CARO

そこには、長い結婚生活での失望。そして50歳という第二の人生のステージに立ち半分夢を諦めていた自分への葛藤の日々がリアルに描かれている。そしてそんな折に現れたジャックとの珍道中がアンの心の澱を少しづつ取り払っていく様が描かれているのだが、日々夫の面倒を見ること、家族に振り回されることに、やや疲れ気味の今の時代を生きる女性たちには、共感(私に夫はいないがな!)と共に、重い荷物を降ろしてほっとするような安堵を覚えるストーリー展開が用意されている。

詳しいコトの顛末はここでは書けないが、とにかく、ああ、そうね。結婚てそういうものよね。でも、まだまだ50歳、これからだ! そして50歳に限らず、女性はいくつになってもいくつであっても、人生また新しく生きられる。という希望がもらえる映画になっている。何より監督エレノアが80歳にして、こんなみずみずしくて心を打つ長編映画を撮れたということが、まず女性たちに大きな希望を与えてくれるのだ。

PHOTO:ERIC CARO

そして、私が大きく目を見開いたのは、パンフレットの一部にあったインタビューで彼女がこう語っていたこと。

「何年にもわたり、フランシスとうまくいかない時期があったけれど、一緒に家族を守ることに大きな価値を見出していた。彼は私がアート活動をすることを、あまりよく思っていなかったの」

そうか。そうなんだ。イタリア家系のファミリー命であろうコッポラファミリーにも、そんな苦い結婚生活の一節があったのか、ということに何より驚いた。そしてそれを素直にインタビューで語るエレノア監督にも驚いた。

まさにジューンブライドの季節、というか結婚を改めて考えたいこの季節にぴったりの作品に、思い切り心が洗われたし、あれ? 私の人生悪くなんじゃない? というより私の人生これから楽しいことがもっと待っている!と希望をくれる映画であったことに拍手を送りたい。

結婚て何? 夫って何? パートナーって何?と考えているそこのあなた!とにかく、映画館に足を運んでコーヒー片手にリラックスしながらスクリーンに向かい合ってみましょうよ。絶対に爽やかな涙があふれること間違いなしです。

そして、ストーリーはもちろんのこと、ソフィア・ファンにもお伝えすべきことは、衣装デザイン担当が『マリー・アントワネット』のミレーナ・カノネロであったこと。そしてBGMを聴くと、思わずにやりとしてしまうこと。その理由は映画館で是非確かめてください。

『ボンジュール、アン』
2017年7月7日(金)TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト