• GLAM TOP >
  • LIFESTYLE>
  • ENTERTAINMENT>
  • 【新作映画】クリステン・スチュワート主演の話題作『パーソナル・ショッパー』試写会レポート!

17.03.30(Thu)

【新作映画】クリステン・スチュワート主演の話題作『パーソナル・ショッパー』試写会レポート!

香椎美裕紀

香椎美裕紀 流れ読み研究家、西洋占星術師

ヒーラーの家系に生まれる。SEや介護職、派遣事務員など、30種類以上の仕事を経て、西洋占星術師・ヒーラーとして2008年に開業。以来予約が1日も途切れず、クライアント数はのべ7,000人を超える。『星読み対面セッション』...

こんにちは、スピリチュアルヒーラーの香椎美裕紀です。
今回取り上げるのは、新作映画『パーソナル・ショッパー』。2016年にカンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、日本でも5月12日(金)からTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国ロードショーとなる作品。先日、試写会に参加してきたので、そのレポートをお届けします。

本作は、全世界で大ヒットを記録した『トワイライト』シリーズでヒロインを演じ、その後も数々の話題作に出演、現在「シャネル」の広告にも登場する、クリステン・スチュワートが主演。フランスの鬼才・オリヴィエ・アサイヤス監督と『アクトレス ~女たちの舞台~』に続き、2度目のタッグを組んだ作品です。


2016年カンヌ国際映画祭では、<何が起きるのかルールなど存在しない―ヴァラエティ><壮大かつ型やぶり!ビリビリと衝撃が走る。―タイムアウト><意味ありげで心をかき乱される心理ミステリー。―テレグラフ><カンヌ国際映画祭で長らく待ち焦がれていたような純粋な狂気の叫びを聞いた ―ガーディアン>とその衝撃的な展開が称賛、物議を醸し、見事、監督賞を受賞した話題作。

「シャネル」が衣装協力したほか、シャネルが本店を構えるパリ・カンボン通りで撮影を敢行し、さらには「カルティエ」ほか最先端ブランドショップが続々登場。極上の心理ミステリーを彩るまばゆいばかりのファッションも観どころ。

……というのが、映画を観る前に私が得ていた情報。想像の中では、『プラダを着た悪魔』や『セックスアンドザシティ』のような、ファッション業界のキラキラした世界の中で様々な人間模様がテンポよく展開する“おしゃれ系の作品”を期待していました。


でも実際は……想像とは真逆の少々(だいぶ?)へヴィーな1本でした。観終ったあと、しばらく思考の整理がつかなかったほど。ジャンル分けするならこの映画は、追い詰められていくような怖さのあるスリリングなミステリー。ハリウッドなどのエンタメ系娯楽作品とは対極の、フランス映画らしい難解さと皮肉に満ちた作品でした。

結局この映画に「ただひとつの正解」というものはなく、観る人の立場や状況、心理状態によって解釈や受け取り方がまったく異なってくる……この映画を観て「何を感じたのか」そして「そう感じたのはなぜか?」、観る人自身の内側に目を向けさせる映画だと思いました。


たとえば、主人公はパーソナル・ショッパーとして、セレブなクライアントのために様々なファッションをコーディネートしセレクトしていきます。そのセンスは抜群なのに、本人はいつも同じ服を着ている。しかも素敵とは言い難い、もっさりとした地味なセーターや色あせた服。また、ハイブランドのキラキラとした素敵なお店で買い物をしているのに、主人公はずっと浮かない顔。観ているこちらが、「ファッションが好きなんじゃないの? 素敵なお店で買い物できて嬉しくないの?」と怪訝に思ってしまう雰囲気を終始まとっている。


そういうシーンが引っかかった私に対してこの作品が突きつけているのは、「好きなものを我慢して諦めることを続けると、本当に好きなものや欲しいものが分からなくなってしまう」という、“警鐘”と解釈できそう。
これが好き、と自分で分かっていても、今日食べるものはこんなもんでいいや……とか、今日着る服はまあ適当でいいや……とか、そんな風に自分の「好き」を日常の中で横に置いたままにしていないか?と問われているのかも、と感じました。

もちろん、そんなことは忙しい私たちにとってはよくあること。でもそれを無自覚に続けていると、いつの間にか、本当に好きなものが何だったのか、だんだん自分の感性が麻痺していって分からなくなってしまう。そして「自分」というアイデンティティを見失い、この映画の主人公のように好きなものへの喜びを感じにくくなり、自分が何を感じているのかが分からないがゆえに他人に振り回される。そしてますます人生が混乱していく……。

こんな風に書くと、とても恐ろしいことのように思うかもしれないけれど、これはこの映画の主人公だけに起きていることではなく、どんな人でもふとしたきっかけで普通に起きること。こういう暗黙のメッセージが込められた映画を観ることの意味は、何を作品から受け取るか、そして受け取ったものをどう生かすのか、にあるのではないかと思います。

面白かった! と単純に言える作品ではないけれど、心に引っかかるものを残す、アートな余白のある映画。フランス映画の感性が好きな人やアート好きな人、難解な映画を味わいたい人、そして、「最近ちょっと自分を置き去りにして生きているかも……」と感じる人にはおすすめの作品です。ぜひ劇場に足を運んで、“自分が感じたこと”にじっくり向き合う時間をつくってみて。


『パーソナル・ショッパー』
5月12日(金)~ TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開
監督:オリヴィエ・アサイヤス(『夏時間の庭』『アクトレス ~女たちの舞台~』)
出演:クリステン・スチュワート、ラース・アイディンガ―、シグリッド・ブアジズ
原題:Personal Shopper/2016年/フランス映画/英語・フランス語/1時間45分
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
公式サイトはこちら >>

【ストーリー】
忙しいセレブに代わり服やアクセサリーを買い付ける“パーソナル・ショッパー”としてパリで働くモウリーンは、数カ月前に最愛の双子の兄を亡くし、悲しみから立ち直れずにいた。なんとか前を向き歩いていこうとしているモウリーンに、ある日、携帯に奇妙なメッセージが届き始め、不可解な出来事が次々と起こる―
果たして、このメッセージは誰からの物なのか? そして、何を意味するのか?

©2016 CG Cinema – VORTEX SUTRA – DETAILFILM – SIRENA FILM – ARTE France CINEMA – ARTE Deutschland / WDR