ELIE INOUE

2015.07.29(Wed)

女優から一流デザイナーに転身!CFDAファッションアワード2度目の受賞「THE ROW」の魅力

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7月1日NYで今年のCFDAファッションアワード受賞者が発表されました。CFDAとは、Council of Fashion Designers of Americaの略で「アメリカファッション協議会」という意味。毎年1回開催されるファッションアワードでは、アメリカで最も活躍するファッションデザイナーを表彰します。
今年はTom FordやMarc Jacobs、Alexander Wangといった既に有名なデザイナーが名を連ねる中、ウーマンウェアの部門で最も名誉ある賞に輝いたのは今回2度目の受賞となるTHE ROWのデザイナー、アシュリー・オルセンとメアリー・ケイト・オルセン。

 

■子役から凄腕のデザイナーに

 

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©2015 CFDA

アメリカのホームドラマ「フルハウス」で子役として女優デビューを果たし、日本でも放映されていたのでその名を知っている人は多いのではないでしょうか。12歳から洋服のデザインを始めた二人は、現在29歳。ともに女優業は引退し、デザイナーの道一本に絞っています。
2006年、LAを拠点にTHE ROWを設立後、本拠地をNYに移し2011年にはニューヨークファッションウィークにてランウェイデビュー、2012年に1度目のCFDAファッションアワードを受賞しています。THE ROWよりもカジュアルなElizabeth&Jamesと、10代の女の子をターゲットにしたOlsenboyeのブランドも展開。現在全ブランドの売上は年間約1200億円を超え、凄腕の一流デザイナーとなりました。

 

■確立されたスタイルは唯一無二の存在

 

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THE ROW 2015FW © 2014 Condé Nast

THE ROWの魅力といえば、上質な素材とシンプルなデザイン。“上質よりも更にプラスα”にこだわっている素材は、唯一無二の肌触りです。一体どのようにして作っているのか?と疑問に思ってしまうほど。
かけ算や足し算だけではなく、化学を用いながら実践を伴っての新しい素材作りは、そう簡単に生み出せるわけではありません。テキスタイルデザインの最先端をいくTHE ROWの素材は、試行錯誤を重ねに重ねたであろう、努力の賜物といえるのです。

アバンギャルドや奇抜なクリエイティブさではなく、ベーシックを基にした洋服の本質を活かしつつラグジュアリーに昇華させたデザインは、シンプルでありながら、ユニーク。一見、目新しさは無いようにも見えますが、実はこの世に未だ無かったもの。流行り廃りのないシンプルさが、飽きがこず長くワードローブの基本となってくれます。聞き慣れて久しい“エフォートレス”や“ノームコア”といったテーマを、デザイナーの二人はブランド設立当初から変わらず軸にしています。まさに2015年のトレンドを代表するスタイルだったため、今回受賞の経緯に至ったのでしょう。
しかしトレンドを追ってデザインをしているわけではないデザイナーの二人は、たとえノームコアブームが去っても、THE ROWのスタイルを変えることはありません。ノームコアやシンプルなどの形容詞に置き換えることの出来ないデザインは“THE ROW”という新たなスタイルを確立しているのです。

 

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THE ROW 2015SS © 2014 Condé Nast

シンプルほど複雑なものはありません。誤摩化しがきかないうえに、明瞭ではないから。誰が見ても美しいと評される創造性の高さではなく、奥ゆかしさの中に見え隠れする“美”がそこにはあるのです。
毎シーズン、新しいコレクションを見るたびに、いかに彼女達がクリエイティブに向き合っているのかが感じ取れ、涙が出そうになります。もうこれ以上素晴らしいものは生まれないのでは、と毎シーズン思うにも関わらず、いつも期待以上のものを見せてくれます。ノームコアから少しずつ次のトレンドに移る今だからこそ、さらにブランドに磨きがかかるのはないかと今後も注目のブランドです。

 

ELIE INOUE
instagram@elieinoue

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