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16.08.10(Wed)

世界へ羽ばたく!パリで挑戦する注目の日本人デザイナー2人

ELIE INOUE

ELIE INOUE Fashion Journalist

神戸の大学を卒業後、単身渡米。NYのファッション業界に携わり、雑誌のライター・コーディネーターとして経験を積む。現在はParisをベースにヨーロッパを駆け回りながら、海外取材やコレクションを通してトレンド分析・考察するジ...

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相次ぐテロ事件、イギリスのEU離脱による経済不安など難題が次から次へと降りかかるヨーロッパ諸国。底なし沼にはまってしまったかのような、負の循環を肌で感じます。

こんな時でも、いや、こんな時だからこそ!ファッションの底力を発揮すべきと言わんばかりに、幸いにも明るいニュースも多々あります。中でも、近年のパリでの日本人デザイナーの活躍はますます勢いが増すばかり。

もはや確固たる地位を獲得したSacai、UNDERCOVER、TOGA。デザイン性や品質の高さだけでなく、メッセージ性の強さを感じるコレクションは、ヨーロッパのジャーナリストからもかなりの好評価。そんな彼らの背中を追いかける、まだ若手の日本人デザイナーがパリで挑戦を続けています。今回は将来に期待がかかる2人の日本人デザイナーをご紹介します。

Kenta Matsushige

パリを拠点に活動している、「Kenta Matsushige」デザイナーの松重健太さん。エスモード大阪校在籍時に神戸ファッションコンテストを受賞し、パリのオートクチュール協会が経営するサンディカ・パリクチュール校へ入学。GIVENCHYやChristian Diorといったビッグメゾンのクチュールでインターンを経験したのち、フリーのデザイナーへと転身。2014年に若手デザイナーの登竜門である“イエール国際モード&写真フェスティバル”でグランプリを受賞し、CHANEL傘下で自身のブランドを立ち上げました。

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(Kenta Matsushige16-17AWコレクション)

弱冠27歳の彼が生み出す作品は、まるで熟練した職人のような高いクオリティで、細部にまで美が宿っています。日本を出たからこそ日本に立ち返り、浮世絵や着物といった伝統文化から着想を得ることも多いのだとか。

多くの日本人デザイナーは日本で経験を積んだのちに海外で挑戦することがほとんどですが、彼の場合は0からパリで経験を重ねています。日本ベースの思考ではなく、アイデンティ自体が日本とフランスをミックスしているというパーソナルな部分が、今後どのようにデザインに反映されていくのか楽しみです。

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(Kenta Matsushigeデザイナー・松重健太)

YUIMA NAKAZATO

森英恵以来12年ぶりに、日本人デザイナーがパリコレオートクチュールコレクションに参加するという噂が耳に入ったのはショーの約1ヶ月前。“招待枠”としてYUIMA NAKAZATOがオフィシャルスケジュール初日、華々しくスタートを切りました。

レディー・ガガ(Lady Gaga)やEXILEといった名だたるアーティストのライブ衣装や舞台衣装を手がけてきた彼は、コレクションテーマを「UNKNOW(未知なるもの)」とし、自然現象の中の色の変化をコレクションに落とし込みながら、誰も足を着けたことのない地へとオーディエンスを誘いました。

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(YUIMA NAKAZATO 16-17AWオートクチュールコレクション)

3Dプリンタやカッティングプロッタと呼ばれる最新テクノロジーと、日本の伝統技術である漆や江戸切子を融合させ、相反する2つの要素による化学反応で芸術性の高い作品を生み出しています。

テーマ通り“未知なるもの”で魅了した彼のファーストコレクションは、誰もが成功と認めるはず。しかし、ブランドにとっての本当の挑戦はこれから。始めることももちろん勇気と実力を要するけれど、“継続”することは何よりも難しい。彼自身承知の上で、「ものづくりに真摯に向き合っていきます」という力強い言葉とまっすぐな眼差しは、信頼に値するものだと私は確信しています。

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(YUIMA NAKAZATOデザイナー・中里唯馬)

世界中に多くのデザイナーが生まれていく中で、個性を発揮して差別化を図れるのはほんの一握り。もう新しいものは生まれないのでは、と思うほど消費率の高い現代ですが、それでも尚見たことのないものをこの世に送り出す才能溢れるデザイナーたちこそが時代、文化を作っているように思えてなりません。国籍問わず多くのデザイナーに取材してきましたが、無限の可能性を秘めたデザイナーというのは決まって「ファッションは目的ではなく方法」と教えてくれます。

内に秘めた感情や世の中へのメッセージ、時に賛辞や警鐘といった様々な非視覚的要素をファッションで表現する。伝えたい想いが増幅するに従って、日本列島から飛び出し世界へと発信しようと試みる日本人デザイナーの挑戦に、ますます注目していきたいです。

ELIE INOUE
instagram@elieinoue