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15.07.08(Wed)

フィンランドの北欧神話の森で本格ピクニック

藤井麻未

藤井麻未 個性派トラベルライター/元海外旅行添乗員

秘境系旅行会社元添乗員。テーマ性のある個性派旅を得意とする。旅ブログキュレーションメディア、TABIZINE公式ブロガー。海外に日本を発信するメディア、Japan Infoライター。

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フィンランドといえば誰もが思い浮かべるのが、マリメッコなどの北欧デザイン、ムーミン、サンタクロース、などなど。しかし、なかには美しい森や湖を連想する方もいるのではないだろうか。

 

そう、実はフィンランドは国土の3分の2を森林で覆われ、なんと19万もの湖を擁する森と湖の国。だからフィンランドの楽しみ方のひとつに森や湖でのレジャーは欠かせない。フィンランドの森は初夏から秋にかけてベストシーズンを迎える。今回はヘルシンキから日帰りで行くことのできる森での本格的なピクニックの楽しみ方をご紹介しよう。

 

ヘルシンキから日帰りで行くことのできる森には代表的なものが二つある。ひとつがアウランコ国立公園、もうひとつがヌークシオ国立公園だ。メジャーなのはアウランコだが、こちらは実は全て人工的に造られた森林公園。それだけに、道が整備されていたり計算された美しさはあるものの、フィンランドの本当の森を見たことになるかといえばそうではない。ただし展望台から一望できる森の姿は筆舌に尽くし難い素晴らしさがある。

 

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それに比べ、ヌークシオは森本来の姿をできるだけ留めることに重点をおいているため、ところどころ倒木がそのままになっていたり、草木が道を塞いでいたりする。その分まるで北欧神話にでも出てきそうな神秘的な森を堪能することができる。ここでは、ヌークシオ国立公園に焦点をしぼって、森へピクニックへ出かけてみよう。

 

ピクニックを楽しむなら、まずは早起きをしよう。朝の森は本当に清々しく心が洗われる。午前中に森に入れば、大自然の中でランチをして午後には市内へ戻ってくることもできる。

 

そして、ピクニックといえばお弁当。とはいえ、なかなか日本のようなボックス弁当を調達するのは難しい。そこでおすすめなのがヘルシンキ市内にある老舗のパン屋EKBERGだ。中央駅からもトラムですぐ、朝も7時台から営業しているため、ここで好きなパンを買って持って行くと良い。できれば日本から紅茶のティーバックと魔法瓶を用意して、ホテルで熱々のお湯を入れてもらっておくと素敵なティータイムが楽しめる。レジャーシートや紙皿、紙コップがあるとなお便利だ。

 

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◆Cafe Ekberg

Bulevardi 9, Helsinki 00120, Finland

+358 9 68118660

日 午前 9:00 – 午後 5:00

月 – 金 午前 7:30 – 午後 7:00

土 午前 8:30 – 午後 5:00

 

服装は、履きなれたスニーカー、そして夏の森は蚊が多いことから長袖長ズボンが基本。初夏や秋なら虫はほとんどいないが、森の中は幾分涼しいことからやはり長袖長ズボンがベターだ。

 

さて、中央駅から列車でエスポーという街を経由し、ここから最寄バス停まではバスかタクシーで20~30分程度。バス停から入口までは舗装された道路を15分程度歩く。片道計2時間程度でヌークシオ国立公園に到着だ。あとはいつくかあるルートを辿って森を心行くまで味わえば良い。辺りはしだいに森の様相を帯びてきて、朝の緑が放つ清々しい空気が身体を包む。

 

フィンランドの森のすごい点は、まずその広大さにある。公園とはいえあまりに広大なためシーズン中でも他のハイカーと顔を合わせることはあまりない。この広い森に自分たちだけしかいないのではないかと錯覚してしまうほどだ。せっかくの美しい自然でも、そこら中、人だらけだとその魅力もなんだか半減してしまう気がするのは私だけだろうか。

 

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そして、ハイカーたちの行き届いた森林マナー。フィンランドでは、国民誰もが森に自由に出入りし利用できる権限を持っている。ヌークシオの森にも無料で使えるキャンプファイヤーの設備、薪などが置いてあり、これらはいつ何時誰が使っても良いようになっている。けれど、その自由度に反して森の中には紙屑ひとつ落ちていない。森を荒らしたり汚したりする人は皆無なのだ。

 

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おのずと自然そのままの森や湖、生態系が保たれ、森は人間を静かに受け入れるし人間は森に寄り添って生きている。ヌークシオの森に抱かれていると、「ああ、フィンランドは本当に森と湖の国なんだな。」と実感することができる。

 

木々の向こうに青く光る湖が見えてくる。ひんやりとした風が木々をそよがせ、鏡のような湖にさざ波をたてる様は、見ているだけで心が癒される。

 

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青空を切り取るように深緑の針葉樹林が囲み、青い水面にはゆっくりと流れる雲が映っている。

 

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森を散策していると、徐々に本能が目覚めさまざまな感覚が研ぎ澄まされてくるようになる。森は静かなように思えて、実は風が木々を揺らす音、カエルの鳴く声、水面に波の立つ音など、様々な音に満ちている。

 

フィンランドの森は不安になるくらいに広大なのだけれど、誰もが利用できるようしっかりとルートが設定されている。手つかずの森の姿を留めておきながらもあちらこちらに色分けされたマーキングがあり、これらのルートはきちんと管理されているため道に迷うということは無い。何しろ森は子供からお年寄りまで誰でも利用できるレジャー施設と同じなのだから。

 

開けた所にベンチがあったので、パン屋で買っておいたシナモンロールと、熱々のお湯で紅茶を淹れてランチにすることにした。フィンランドではシナモンロールをよく見かける。「潰れた耳」という意味のカルバブースティーという名前のこのパンは、紅茶とよく合う。おこぼれを狙ってか小鳥たちが寄ってくる。自然と人間の距離は限りなく近い。

 

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森の奥深くに入り込むにつれて不思議な安心感に包まれる。フカフカの苔の絨毯、虹色の木漏れ日、巨大な倒木……。何もかもが無性に愛らしく、それらに触れていることが心地良い。人間も本来は自然の一部なのだということを、ここでは肌で感じることができるのだ。

 

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3~4時間の滞在時間でゴールへと辿り着いた。バスと列車を乗り継ぎヘルシンキ中央駅に降り立つと、途端に喧噪が耳につく。ほんの僅かな滞在だったが、既に体が自然に順応しているのだ。大自然に触れたことでなんだか気持ちもスッキリし、心も穏やかだ。幼い頃から森に触れ、常に身近に自然を感じて生きているフィンランドの人は、だから大らかなのかもしれない。

 

新緑の夏、実りの秋、どちらの森も素晴らしい。ベリー摘みやきのこ狩りを楽しむことだってできる。この夏秋旅のリストには、フィンランドの森での本格ピクニックを加えてみてはいかがだろうか。


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“元添乗員の国外逃亡旅行記”