15.12.01(Tue)

今求められるデザイナーはLondonから。唯一無二のクリエイションに魅了される理由

ELIE INOUE

ELIE INOUE Fashion Journalist

神戸の大学を卒業後、単身渡米。NYのファッション業界に携わり、雑誌のライター・コーディネーターとして経験を積む。現在はParisをベースにヨーロッパを駆け回りながら、海外取材やコレクションを通してトレンド分析・考察するジ...

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ファッションウィークの楽しさは、新しいクリエイションを見られることだけではありません。主要都市それぞれの歴史や文化的背景、そして現代の捉え方が表現され新たな発見に出会えることこそ醍醐味。

都会らしいモダンで洗練されたリアルクローズを提案するNY。人生と毎日を華やかに彩るプレイフルなMilan。自国への文化を重んじつつも、常に新しいものを取り入れる姿勢を崩さないLondon。ゆるぎないクラシックと最新モードを創造するParis。

需要やブランドのイメージを合わせて、デザイナーたちはコレクション都市を決めます。前シーズンはNYのマディソンアベニューにフラッグシップを構えたGIVENCHYが、Parisではなく一回限りのNYでのショーを大成功におさめました。ヨーロッパでの評判がますます上がっているTHE ROWはコレクションの場をParisに完全シフト。というように、既に名の知れた有名デザイナーたちにとっても発表の場というのはとても重要なもの。

■ 超多忙なLondon Fashion Week

ニューフェイスのデザイナーに最も人気の都市がLondonです。新人支援プロジェクトが積極的に行われるだけあって、経済的にも好条件。また、世界有数のファッション大学セント・マーチンズがあることも理由の一つでしょう。ニューデザイナー発掘に精を出すジャーナリストやバイヤーたちはLondonのコレクション時期はまさに寝る間も惜しむ一週間となります。

■Londonの魅力を凝縮したデザイナー


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そんなLondonベースのブランドで今最も熱を帯びているのは間違いなく「J.W.Anderson」。クリエイティブディレクターを務める「LOEWE」でも、若々しいアーティスティックな見せ方と、現代女性の生活にすんなりと取り込める“軽さ”を上手に表現しながら、同時に老舗メゾンのラグジュアリーを忘れさせない巧みな技を披露。後世に残すべき伝統を継承しながらも、鋭い嗅覚で未来を見据えている彼は、まさにLondonの良さを凝縮したような人物。

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(J.W.Anderson 2016SS collection)


■類を見ないクリストファー・ケインの創造性



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そしてもう一人、注目すべきLondonベースの新進気鋭デザイナーが「Christopher Kane」。2006年のデビューコレクションでボディコンシャスなシルエットをネオンカラーで作り、センセーショナルなコンビネーションが話題となりました。同年の初コレクションでも色と形にフォーカスを置き、刺激的で真新しいデザインがファッション関係者の間で“マスト・フォロー“のデザイナーだと更に評判を上げる結果に。期待の高まる翌シーズンは周囲の期待を上手く裏切ったクリストファー・ケイン。

前シーズンまでの体のラインを強調するセクシーなシルエットではなく、抜け感のある軽快な装いでアグレッシブな女性を表現したのです。類稀なる彼のクリエイションは、過去のものを現代に推し進めるのではなく、未来へと作り変える高い独自性が魅力。

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(Christopher Kane 2016SS collection)


ファッションはまるで生き物。常に変化し続け、新しいものが生まれては死んでいく。時代とともに呼吸し、あの手この手で生き残る術を探るのです。毎日とめどなく押し寄せる情報の波とリアルタイムで世界中の風景が見られる現代、そのスピードはますます加速しています。

そんな今だからこそ、良いものとそうでないものの境界線は濃くなっているように感じます。瞬間的に新鮮であっても、翌日には蒼然としている。ぶれない情熱と唯一無二の独自性がなければ、トレンド以上の価値を生み出すことはできないのです。

「J.W.Anderson」と「Christopher Kane」のように、新しい視点で現代を上手くファッションに落とし込めるデザイナーこそが今は求められています。次シーズンも彼等に期待しつつ、新たにデビューを果たすLondonのデザイナーに注目です!

ELIE INOUE
instagram@elieinoue